結局「ドクターイエロー」はいつまで走るのか あと3年は確実だが、次期車両はどうなる?
では、700系引退後のドクターイエローの検測で、東海道新幹線のダイヤに支障は出ないのか。
N700A、N700Sは東海道新幹線を最高時速285kmで走る。700系をベースとしたドクターイエローの最高時速は270kmなので、両者の速度差は時速15kmにもなる。東京―新大阪間の所要時間ではN700A、N700Sの最速2時間30分に対してドクターイエローは約2時間37分。最短3分30秒間隔で運行可能な東海道新幹線では「のぞみ」2本分の差だ。
もっとも、2020年度以降のダイヤは検討段階にあり、また、終日全区間を3分30秒間隔で運行しているわけではなく、停車駅が多い「ひかり」や「こだま」も運行しているので、足の遅いドクターイエローが「のぞみ」から逃げ切るのは不可能ではないだろう。まして運行本数が少ない山陽新幹線では問題はないと思われる。
次期ドクターイエローは登場しない?
寿命はどうあれ、N700Sベースのドクターイエローは登場するのかも気になるところだと思う。これについてもJR東海からアナウンスがないので、あくまでも推測となるが、登場する確率はかなり低いと思われる。
ドクターイエローのメリットが営業車両と同じ速度で検測することによる高精度なデータ取得にあるのは言うまでもなく、特に軌道検測についてはドクターイエローの検測精度の高さは群を抜いていると言える。
一方で営業車両と同じ編成で、乗客を乗せた状態で検測できるならばさらに高精度なデータの取得が可能だという考え方もある。それに基づき、2009年度よりN700Aのうち6編成に軌道状態監視システムを搭載している。
このシステムは台車に取り付けた加速度計が車輪の動きを計測し、車上演算装置がレールの形状(歪み)を算出。このデータを無線によって中央指令端末に送信するものだ。メリットはドクターイエローが運行しない日でも軌道の状態を捉えることができ、タイムリーに保守点検が可能となることだ。
ただし現行システムではレールの上下方向のずれしか計測できず、また加速度計の特性上、計測可能な速度が時速70km以上で低速の計測ができないなどドクターイエローと比べると遙かに簡易的だ。
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