T&Gはブティックホテルを全国展開できるか ホテルとリゾート婚で狙う「再成長戦略」

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縮小

これまでの実績を基にすればトランクホテルは2.4年で初期投資が回収できる計算になる。今後の出店については投資回収期間3年を収支目標として設定する。

T&Gがホテルを今後の事業柱に育てようとしている背景には、国内ウェディング市場の縮小傾向がある。「少子高齢化の影響でマーケット規模は縮小するが、それでも1兆円を超える魅力的な市場であることに変わりはない」と野尻氏は強調する。

だが、縮小を続けるパイをめぐって競争がますます激しくなるのは必至。10年後の国内ウェディングの売り上げ目標をほぼ現状維持にとどめているのも、そうした事業環境を反映したといえるだろう。

ホスピタリティ産業にイノベーションを

「競争力が低下したゲストハウスは閉店、その代わりに好立地で高収益が見込まれる店舗に絞って出店していく。ドレスやギフト、装飾などの内製化を進め、利益率も改善させる」(野尻氏)。国内ウェディングについては売り上げ成長よりも収益性を追求していく方針だ。

従来の主力事業に代わる企業成長の原動力をいかに作るか。その1つは、すでに100億円を超える売り上げ規模に成長した海外・リゾートウェディングだ。これまでは日本人の海外挙式が主力だったが、今後は東アジアや北米の顧客開拓にも注力する。

「ホテルでは地方自治体など地域との連係も図りたい」と語る野尻氏(撮影:尾形文繁)

各国の旅行代理店との提携により販売網を構築。同時に、東アジアや北米のユーザーに人気のあるエリアで出店を進めていく。たとえば、北米ではラスベガスやマイアミ、カリフォルニア、アジアではタイのプーケットや中国の海南島などへの新規進出を検討する。

そして、もう1つの柱がホテル事業だ。長期の経営方針では企業のミッションとして、「ホスピタリティ産業にイノベーションを」とうたっている。とはいえ今後、新ブランドで展開する100室規模のホテルが、高価格戦略を維持できるかは、未知数だ。

ウェディングの枠を超えてホテル業界に進出、ホスピタリティ産業というより大きな概念で自らを再定義したT&G。ブティックホテルを日本のホテル業界に根付かせ、イノベーションを起こすことができるか。次の10年に向けた挑戦が始まった。

三上 直行 東洋経済 記者

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みかみ なおゆき / Naoyuki Mikami

1989年東洋経済新報社入社。これまで電機などを担当。現在は、冠婚葬祭業界を担当。

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