JR西「新たな寝台列車」デザインは前代未聞だ デザイナーが明かす「庶民派車両」の全特徴

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3号車のコンパートメント。小さい子どもがいる家族が使いやすそうだ(図:JR西日本)

――3号車にはコンパートメントが2室あります。

小さいお子様と一緒に家族が楽しめるようなスペースです。折り畳み式のソファは広げればベッドになります。ただ、ドアはないので完全な個室ではありません。また、壁のように見えるものは壁ではなく、ルーバー(ブラインド)です。完全な個室は6号車だけです。

――4号車のフリースペースのコンセプトは?

夜遅くまで会話を楽しめる車両にしたいと思っています。一方で、3号車には座席やグループ向けの個室がありますが、こちらは静謐性を確保する。このように静けさとにぎやかさをきちんと役割分担することを目指しています。

――長距離列車ということで、特に意識したのは?

4号車に設けられるフリースペース。乗客に思い思いに楽しんでもらおうと、テーブルやいすの種類もさまざまだ(図:JR西日本)

回遊性です。京阪神から山陰や山陽へ走るということは、新大阪から新山口まで2時間弱で行ける新幹線に対し、お客様にはその何倍もの移動時間を過ごしてもらうことになります。長時間の旅を楽しんで頂くためには、個室で寝転がれるだけでなく、フリースペースも必要です。当初案ではフリースペースは1カ所あればいいということでしたが、結局、大小合わせて4カ所設置しました。

また、夜行で使うことを考えると、トイレの数はある程度必要です。そこで6両中、5両にトイレを付けることにしました。

列車の前面形状はどうなる?

――2号車は女性専用車両です。

時節柄、ないとダメだと思います。ただ、女性専用にすると男性が通路を通って向こう側の車両に行くことができない。トイレに行くなどの必要性もありますし、通り抜けはOKということにしました。

――最近は木材を多用したぜいたくなイメージの観光列車が全国的に流行していますが、この列車でも木材を使っていますか。

基本的に床とテーブルには天然の木を使います。場所によっては木目風のシートを使うこともあるかもしれませんが、お客様にとって心地よい空間をどうバランスよく作っていくかですね。メンテナンスなどの都合もあるでしょうし。

川西氏がデザインしたえちごトキめき鉄道の観光列車「雪月花」(撮影:尾形文繁)

――雪月花をデザインした経験は生かされていますか。

共通しているのは、車内の回遊性をどうするかということです。雪月花には「この先はどうなっているんだろう」と思わせる仕掛けを随所に織り込みました。今回も詳細設計を進めていく中で、大きなポイントになると思っています。

――外観デザインがまだ発表されていません。こっそり教えてもらえませんか。

いえ、正直言うと、僕がまだ描いていない(笑)。列車のコンセプトを丁寧に整理しながら、検討中です。

――雪月花の前面の形状はかなりユニークでしたが、今回は?

列車の顔ですか?楽しみにお待ちください。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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