JR西「新たな寝台列車」デザインは前代未聞だ

デザイナーが明かす「庶民派車両」の全特徴

――JR西日本からはどんな条件が出されましたか。また、デザインに取りかかったのはいつ頃からですか。

来島社長から、「多様である、カジュアルである、くつろげる」という3点を宿題としていただきました。フリースペースをたくさん配置してほしいという提案もありました。そのときに、製造から40年くらい経っている117系という通勤車両を改造することを聞きました。6両にさまざまな座席を配置するという方針が決まったのもその時です。グリーン席、グリーン個室、ノビノビ座席、普通の座席、そしてフリースペースですね。デザインに着手したのは、昨年6月に行われた報道発表の前後です。最初の頃は、これらの座席をどう配置するかという作業をしていました。

「新たな長距離列車」の全編成。図左上の6号車のグリーン個室は部屋の形が独特だ(図:JR西日本)

――配置というと?

117系は電車なので、「フェイーン」というモーター音が気になります。でもモーターを取り替えてもらうわけにもいかないので、モーターがない1号車と6号車をグリーン車に設定することにしました。一方で、モーター車の床には騒音対策としてカーペットを敷いています。

――グリーン車の特徴は?

1号車のグリーン車。向かい合わせの席を倒すとベッドに早変わりする(図:JR西日本)

1号車は当初は普通のグリーン席にしましょうというお話でした。でも普通の在来線特急のグリーン席に長時間にわたって座り続けるのは、居住性の面で課題があるのではないかと考え、向かい合わせの席をパタンと倒せばベッドにできるようにしました。これなら窓1枚を占有し、昼でも夜でも自由に寝たり座ったりできます。

ベッドを折り畳むとソファに

――6号車は個室ですが、通路が斜めになっているのが斬新です。

通路については正直あまり考えませんでした。窓から見える景色をいかに楽しんでもらうかがデザイン上の課題でした。この個室は決して広くはありませんが、普通の座席の座面よりも高い位置になるようにベッドを配置しました。ベッドは折り畳めばソファになります。ここに寝っ転がって窓を見ると、今まで得たことのない視界で外の景色を楽しんでもらえると思います。

――2号車と5号車にはノビノビ座席があり、2段寝台みたいですね。

5号車の普通車はフルフラットシートのノビノビ座席(図:JR西日本)

117系は天井までの高さが2100mmしかなく、通常の通勤電車の高さ2300mmと比べると、やや低いです。昔の寝台列車の高さは2500mmくらいあったのではないでしょうか。

従来の窓だと下段のお客様があまり車窓からの眺めを楽しめず、非常に息苦しい空間になってしまう。そこで2号車と5号車は窓を30cm下に広げました。もともと扉は1両に4カ所付いており、片方を潰して2カ所にしたのですが、扉だった場所は構造上窓の大きさを比較的自由に取れますので、埋めた扉のところに縦長の窓を配置しています。

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