トヨタ「15代目クラウン」乗ってわかった実力

「日本に向き合った車づくり」で随所を高めた

エンジンバリエーションは全3タイプ(筆者撮影)

エンジンバリエーションは全3タイプ。「V型6気筒3.5L+ハイブリッドシステム」「直列4気筒2.5L+ハイブリッドシステム」「直列4気筒2.0Lターボ」で、ハイブリッドにはTHS-Ⅱ、ターボには8速ATが組み合わされる。後輪駆動のFR方式が基本で、2.5Lハイブリッドにのみ先代同様のトルセンLSD付トランスファーを用いた4WD方式を用意する。

運転に集中できる車内環境

クローズドコースでの走りは刺激的だった。なかでも筆者が感銘を受けたのは2.0Lターボ(18インチタイヤ/可変ダンパー装着車)と、2.5Lハイブリッド(17インチタイヤ/標準ダンパー)の2モデル。先代のマイナーチェンジで導入されたターボエンジンだが、新型では低回転域でのトルクを増強しながら先代を1000回転程度上回る6000回転あたりまでグワッーと力が継続する。

上下2段式のモニター構造をさらに進化させた(筆者撮影)

また、可変ダンパー(KYB製)の効果が劇的で、快適性を重視した「コンフォート」モードでは足だけが動くスカイフック的な気持ちよさがある一方で、車両の挙動を抑える「スポーツ+」モードでは軽快感が演出される。

ハイブリッドモデルでは、FR/4WDともに試乗できたのだが、FRではまず最適化された前後重量バランス(ほぼ50:50)による回頭性のよさが際立った。ハイグリップタイプではないタイヤの性能をしっかりと使い切れるよう、トレッド面に均等な荷重変化を与えつつ、タイヤサイドウォールの踏ん張り力をこじることなく引き出すよう車体のロール速度を絶妙にコントロールする。

結果、どんな路面状況なのか手のひらに伝わってくるし、その変化も体で感じられるのでいつでも安心して運転に集中できる。4WDは滑りやすい路面での操縦安定性を考慮し、EPS(電動パワーステアリング)やサスペンションの前後バランスを変更し、よりしっかりとした操舵フィールとなるよう専用設計を行った。開発最終段階で試乗した豊田章男社長は「私のラリーカーよりいいね! この4WDシステムには愛称をつけようじゃないか!」と盛り上がったという。

苦労を重ねて実現した新型の走行性能だが、秋山氏によるといちばんのこだわりは「運転に集中できるようドライバーの目線が上下しないよう滑らかな車内環境を実現したかったこと」だという。

運転に集中できる車内環境を実現した(筆者撮影)

新型クラウンの足回り設計を担当したというトヨタの技術者は「秋山のこだわりが本当に半端なく実現にはメンバー全員で知恵を絞りましたが、こうして実車となってホッとしています」と語る。すると、それに応えるように秋山氏は「みんなの努力のおかげで完成した自信作だから、ニュルブルクリンクで試してみよう」となったのだと、満面の笑みで裏話を披露してくれた。そんな15代目の新型クラウンが世に出てくるまで、もうまもなくだ。

自動車最前線の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 今さら聞けない競馬のキホン
  • ソロモンの指輪〜「本能と進化」から考える〜
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • ボクらは「貧困強制社会」を生きている
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
集中連載「日立 踊り場の先へ」<br>世界で戦える組織へ

成長を確実にする組織の根幹を成すのが、研究開発と人事である。研究開発体制は2015年4月、各研究所に横串を通し、顧客起点の組織に生まれ変わらせた。人事制度もグローバル化がほぼ完了。踊り場から飛躍へ、日立の地固めの様相を追う。