私大への助成金で歪められる日本の教育現場 18歳人口の大幅な減少に耐えられるのか
そんな議論に関連して、最近になってクローズアップされているのが、大学の定員割れの問題だ。
補助金を受けている私立大学の40%は、5年連続で定員割れに陥っていると言われている。2018年度からは、定員割れしている私立大学に対して補助金を減額する方向に動いており、場合によっては補助金の打ち切りも検討するとされている。大学ビジネスも、いよいよ人口減少の影響をまともに受けつつある、ということだ。
実際に、大学教員の平均年齢は学校教員統計調査によると、2016年度現在で平均年齢49.1歳。過去最高でこの数字は年々上昇している。若手の教員が育っていないことを物語っているのだが、教員不足から定年延長した大学が多く、そのぶん教員の賃金の低迷につながっているとも言われる。
ちなみに2017年秋に、東京23区の大学の定員を抑制する文部科学省告示が交付されたが、地方大学の定員割れを防ぐために、人が集まりやすい東京の大学の定員数を制限するのは、あまりに安直な政策と言わざるをえない。定員割れの大学の活性化に繋がるとは到底思えない。
大学を減らす仕組みを作るほうが建設的だ
人気のない大学を減らす仕組みを作ることのほうが、今後の人口減少社会を考えたとき、はるかに建設的と言える。
そもそも、私立大学という私的な組織に多額の税金が使われていることには、以前から憲法89条の「税金を私的企業や団体に交付することを禁止する規定」に違反しているのではないかという指摘があった。教育機関だから特別扱いすることで、これまでスルーされてきたのだが、国際的に低いランクに甘んじている日本の大学の現状を考えると、助成金制度が功を奏しているとも思えない。
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