私大への助成金で歪められる日本の教育現場 18歳人口の大幅な減少に耐えられるのか

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・学校経営にかかわる刑事事件により役員または教職員が逮捕及び起訴された場合

・役員もしくは教職員などに訴訟や紛争があり、教育研究その他の学校運営が著しく阻害されて、その機能の全部若しくは一部が休止している状態の場合

・理事会または評議会が長期間開催されず、教育研究や学校運営が正常に行われていない場合

日大アメフト部の事件では、悪質反則は内田正人前監督と前コーチの指示だったとされているが、内田前監督は日本大学全体の理事=役員だったために、仮に今回の事件が刑事事件に発達した場合、補助金の減額、打ち切りになる可能性が出てくる。

ここに、日大が自校の役員の不祥事をあっさりと認められない事情がある。私立学校振興助成法にも役員の責任などは明記されている。

私立大学に押し寄せる「2018年問題」

全国に600校余りある私立大学には、「2018年問題」という大波が押し寄せようとしている。

大学の「主要顧客」である18歳人口は、ピーク時の1992年に200万人を超えていたが、その後減少に転じ、2017年のそれは120万人へ4割減少した。2000年代後半に減少ペースはいったん鈍ったが、2031年には100万人を切る。「2018年問題」とは、18歳人口の減少スピードが2018年に再び加速することにより、私立大学の経営を大きく直撃するという問題を指す。

実際に大学や大学院の将来像を議論する中央教育審議会、いわゆる「中教審」もこの秋を目処に、国立大学法人が複数の大学を経営できる仕組みなど、少子化の進展に対応するための将来構想を文部大臣に答申すると言われる。

その中には経営悪化の私立大学に対して、早期の撤退を促す目的で学部や学科単位の「譲渡」を可能にする、あるいは他の大学や企業、自治体と密接な連携ができる体制を作るなど、大学や大学院の在り方について議論が交わされている。

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