「自動車革命」は日本半導体のカミカゼになる 「ソニー、東京エレク、東芝」巨大投資の背景
こうした状況下で半導体設備投資はまさに空前の領域に入ってきた。2015年段階で6兆円であった世界の半導体設備投資は、2017年に9兆円までハネ上がった。つまりは何と2年間で50%増というすさまじい伸びを示したことになる。すべてはデータセンター、AI、車載、ロボットなど新たなIoT革命の幕が切って落とされ、流れが変わったことを表す出来事と言えよう。
当然のことながら半導体装置市場も2017年は36%増の560億ドルとなり、驚異的な成長を遂げた。サムスンがインテルを抜いて半導体の世界チャンピオンに躍進したことを象徴するように、地域別では韓国が台湾を抜きトップに出た。2018年は600億ドルを超える見通しで、中国が台湾を抜き世界第2位になる可能性が強まってきた。
もちろん世界に冠たる日本の半導体製造装置メーカー主要各社の2018年度通期業績予想を見ても高い成長率となっている。総じて2ケタ成長を予想しており、半導体景気はまだまだ続くと見ているのだ。
この分野の国内ランキングは東京エレクトロン(TEL)が断トツであり、次いでSCREEN、日立ハイテク、荏原製作所、アルバックが続いている。伸び率だけでいえばアルバックが37.4%増で首位、これに日立ハイテクが続き24.2%増、東京エレクトロンは高水準のまま22.1%増を予想している。
東京エレクトロンの株価は約4倍の2万円近辺へ
国内の半導体装置トップ、東京エレクトロンは今日にあってサプライズの高成長を遂げつつある。2010年度当時は4186億円の売り上げであったものが、2017年度にはなんと倍増以上の1兆552億円に押し上げた。さらに、2018年度に1兆2880億円に引き上げるといっており、22.1%増を狙っている。
なお、同社は先ごろ新中期経営計画を発表しており、2020年度には売上高を最大50%増(2017年度比)の1兆7000億円にまで高める財務モデルを公表している。
なんということだろう。日本の半導体メーカーでトップに君臨する東芝の2017年度半導体売り上げが1兆5425億円であるからして、単純比較はできないが、何と装置がデバイスを越えてしまうというミラクル神話が生まれることになる。株価に至っては1年前に5000円程度であったものが、なんと約4倍の2万円近辺まで押し上げている。
東京エレクトロン躍進の最大の秘訣はなんといってもIoT対応のデータセンターの主要記憶媒体が3D‐NANDフラッシュメモリーになっていくことで、この製造に使われるエッチングマシン(エッチャー)が爆発的に伸びていることだ。
少し前の半導体メモリー工場では露光機1台でエッチャー1台であったが、直近では東芝四日市工場の場合、露光機1台にエッチャー8台が使われており、近い将来にはこれが20~30台になると予測するアナリストもいる。最先端フラッシュメモリーの多層化が進んでいるために起きている現象なのだ。
こうなればエッチャーを量産する米国のラムリサーチ、同アプライドマテリアルズ、そして日本のTEL、日立ハイテクなどにすさまじい追い風が吹いてくることになる。
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