新幹線「乗客の手荷物チェック」は現実的か 海外高速鉄道「手荷物検査」の実態とは?
この手のセキュリティチェックを最も厳格に行っているのは中国だろう。世界最大級の高速列車網を擁する中国では、車両や駅を含む鉄道関連施設の破壊をテロ行為から守るため、全乗客のすべての荷物に対して待合室の手前でスキャンチェックを行っている。
だが、定員が1000人を超える列車も数多く運行されている状況の中でも、検査場は意外と混んでいないように見える。空港では液体物やパソコンをカバンから取り出して、別のトレーに入れて、といった段取りが必要だが、中国の駅では何でもかんでもカバンに入れた状態でスキャンするので、時間に関してはそれほどストレスにはならない。
駅の規模が日本とは違う
JR東海の金子慎社長は、13日に行われた定例記者会見の席上、「鉄道の利便性を損なう手荷物検査は困難」との見方を示した。ところが、CRHは7~10分間隔で出発しており、「中国でできて、日本でなぜできないのか?」という疑問が残る。
これについては、中国では主要駅の規模が日本と比べ物にならないほど大きい、というのが大きな理由ではないだろうか。たとえば中国南部の広州南駅はCRHの一大ハブターミナルとなっているが、実に28本ものホームがずらりと並んでいる。
また、中国の場合、チケットを買う際に実名をチェックし、そのデータを券面に打ち込むほか、鉄道オペレーター側が身分証明書(外国人の場合はパスポート)のデータを保管しており、万一の際はこれらのデータを使って犯人を特定することが想定されている。
したがって、当局は駅でのセキュリティチェックで怪しい者を発見するだけでなく、チケットの購入段階で監視中の人物はいないかといった、なんらかのチェックを行っている可能性が高い。
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