650億ドル!コムキャストがFOXに買収提案 映画やテレビスタジオなどが対象
[13日 ロイター] - 米ケーブルテレビ(CATV)大手コムキャストは13日、娯楽・メディア大手21世紀フォックスのメディア資産を650億ドルで買収すると提案した。
前日には米連邦地裁が通信大手AT&Tによるタイム・ワーナーの買収を承認しており、コムキャストのブライアン・ロバーツ最高経営責任者(CEO)は規制当局の承認取得に強い自信を示した。
コムキャストは、ネットフリックスやアルファベット傘下のグーグルなど、コンテンツを作成して消費者に直接配信する企業に対抗するため配信事業と制作事業の統合を目指す従来型メディア企業の先陣となることが予想される。
コムキャストとディズニーは買収合戦に突入
コムキャストの提案は全額現金によるもので、フォックスの映画やテレビスタジオなどが対象。フォックスを巡ってはウォルト・ディズニーが株式交換による520億ドルの提案を行っており、コムキャストとディズニーは買収合戦に突入した格好だ。
コムキャストは自社の提案について、ディズニーよりも19%高いと説明した。
フォックス・ニュースやフォックス・ビジネス・ネットワーク、フォックス・スポーツなど、主なスポーツ・ニュース事業は別会社にスピンオフ(分離・独立)される。
コムキャストの提案は事業売却などの面でディズニーの案と類似した内容で、司法省が買収阻止の措置をとった場合に法廷で争う意向も示した。
コムキャストはフォックスのメディア資産に対し1株当たり35ドルを提案。ディズニーの提案は13日終値をベースにすると1株当たり29.18ドル相当となる。
コムキャストはディズニーと同様に、買収が実現しなかった場合に買い手側の違約金として25億ドルを支払うことを提案。さらに、コムキャストの案を受け入れた場合にフォックスがディズニーに支払わなければならない15億2500万ドルの違約金についても、コムキャストが負担するとした。
コムキャストは、4月に提案した300億ドルでの英放送局スカイの買収も同時に進めると表明した。スカイを巡ってはフォックスが完全子会社化を提案したが、規制当局が懸念を示している。
フォックスは、コムキャストから提案を受け取ったことを明らかにし、内容を精査する意向を示した。
一部のアナリストはコムキャストのフォックス買収について、コムキャスト傘下のNBCユニバーサルにフォックスの映画・テレビスタジオが加わることから、規制上のハードルに直面する可能性があるとみている。
司法省の通信作業部会のメンバーを務めたことのある弁護士、ケタン・ジャベリ氏は、「ディズニーもコムキャストも買収実現のために必要な資産を売却する意向のようであり、どちらかが大幅に有利な立場にあるとは思わない」と述べた。
税務の専門家は、コムキャストの全額現金による買収案を受け入れれば、フォックスを率いるメディア王ルパート・マードック氏一族は数十億ドルのキャピタルゲイン税を課されることになるため、コムキャスト案に難色を示す可能性があると指摘した。
また、モフェットネイサンソンのアナリスト、クレーグ・モフェット氏は、ディズニーのほうがバランスシートや債務コストなどの面で優れているとして、コムキャストとの買収合戦はディズニーが勝利する可能性があるとの見方を示した。
13日引け後の取引でコムキャスト、フォックス、ディズニーの株価はいずれもほぼ横ばいとなった。
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