早慶卒「学部名」を言いたがる彼らの内輪事情 SFCや早稲田スポーツ科学部は別大学扱い
法学部の入試が難関であるのにはカラクリがある。毎年820人ほどの募集人員のうち、2学科それぞれ最大160人、計320人は、「FIT入試(AO入試)」「指定校推薦」による選考で受け入れることを約束している。
対する経済学部の募集人員は約770人で、AOや推薦入試制度を採用していない。「PEARL入試」と呼ばれる入試はあり、書類審査に加え、IB(国際バカロレア)、SAT(大学進学適性試験)、ACT、TOEFL、IELTSといった外部試験の結果が選考基準となっている。ただ、その募集人員は100人程度だ。
つまり、慶應の法学部は一般入試以外の枠が広い(約39%。経済学部は約13%)ため、一般入試が難関になりやすいわけである。
もちろん、この程度のことは学生たちも重々承知しており、その上で「いちばんエライのは法学部政治学科」と感じている。なぜだろうか? また、同じ学部で同じ偏差値なのに、どうして法律学科より政治学科のほうがエライのか?
その理由は、「内部生の進学人気順がそうだから」なのである。それが大学全体の階級意識を牽引しているのだ。
今の内部生が、法学部を志望するのは「偏差値がいちばん高いから」で、中でも政治学科を好むのは「法律学科より、単位取りがラクだから」。この内部生の志向と、それに伴う学部ヒエラルキーの変化は、10年ほど前から見られるものである。
慶大生は、良くも悪くも内部生のことを強く意識している。他大では内部生を"下"に見る学生も多いが、慶應は違う。本当の金持ちがいる、図抜けた才能の持ち主が混じっている、といったことから、昔も今もむしろ"上"に見ている。よって、内部生の意識が大学全体の意識に影響を与えることも少なくない。
バカにされていた早稲田の社学に急変
早稲田の学部ヒエラルキーは、慶應よりも大きな変化がある。
かつて、早大生の中で「誰でも入れる学部」と下に見られていたのが、第二文学部(略称・二文)と社会科学部(略称・社学)だ。親世代の頃だって、もちろん受験では不合格者をたくさん出しており、MARCH(明大・青学・立教・中大・法政)並みに高い入試難度だったのだが、学内ではそんな位置づけにあった。
20年以上前に早大生だった人なら、どなたもご存じの替え歌がある。早大仏文科中退の野坂昭如氏が作詞した「おもちゃのチャチャチャ」をモチーフに、「♪シャシャシャ社学のシャッシャッシャッ~」と社学生を思いきり揶揄した歌詞だ。諸説あるが5番まで存在する。
二文は文字どおり、社学も長い間、夜間学部だったからだ(社学は1998年度に昼過ぎから始まる昼夜開講学制へ移行)。そして、他学部には落ちたが、夜学でもいいから入りたい!と熱望する「早稲田命」な若者たちの受け皿になっていた面がある。
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