「しまじろう」がアマゾンにも進出する事情 新番組の狙いはどこにあるのか?

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またお兄さん役の「キャップ」を務める永田崇人さんは母親から人気を集めそうです。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」シリーズなど、2.5次元ミュージカル(漫画やアニメ、ゲームを原作とした舞台)で活躍してきた旬な俳優を起用しています。収録時、永田さん本人に話を伺うと「自分の役割は子どもたちのヒーローになること。一緒にご覧になっているお母さんにも熱中してもらうよう頑張りたいです」と話していました。

少子化でも、しまじろう関連ビジネスは絶好調

アマゾン初の試みもあります。プライム会員(Amazonファミリーに子どもの情報を登録していることが条件)を対象に、「しまじろう」や「キャップ」らと番組内で一緒にダンスを踊る「アマゾンキッズ」の募集を行っています(第3次締め切り6月17日まで)。アマゾンもベネッセも同じ会員ビジネスモデルです。ファミリー層への認知が高まることで互いに相乗効果がありそうです。

「あつまれ!アマゾンキッズ しまじろうとあそぼう!」収録風景(写真:ベネッセコーポレーション)

「(アマゾンもベネッセも)会員を大切にしていますから、共通する視点があり、円滑に実現しました。『こどもちゃれんじ』を利用するお母さん方が日用品を購入するために訪れたアマゾンでわれわれが学びも提供できれば、より生活が豊かになるはずです」(内山氏)

ベネッセコーポレーション こどもちゃれんじグローバル本部 グローバルキャラクター開発部 コンテンツ開発課課長の内山昭子氏と、しまじろう(筆者撮影)

少子化が進んでいますが、しまじろう関連ビジネスは逆風が吹いているどころか、好調だと言います。2017年のコンサート観客動員数は52万人を超え、過去最高を記録。3月に公開された劇場版しまじろう『まほうのしまのだいぼうけん』は動員数20万人超えで、これも過去最高となりました。

「レジャーニーズの高まりが後押ししている」と内山氏は分析しています。スマホ片手にお出掛けする親子が、すき間時間にアマゾンの「しまじろうとあそぼう!」を視聴する光景を目にする日も近そうです。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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