6月の日本株は「上昇」「下落」のどっちなのか 不安要因を挙げればキリがないほど多い
従って、6月相場は日本国内要因の比重が増すと思う。終わった2017年度の企業決算の集計は前期比で売上高8%増、経常利益17%増、純利益35%増という高水準な数字だったが、2018年度の会社予想では売上高2.7%増、経常利益1%増、純利益2%減と、ヒステリックとも思える弱気な数字になっている。
しかし、証券会社の一部のレポートからは、1ドル=110円の前提ではあるが、経常利益9%台の数字が既に見える。今後続々と各社のレポートが出て来よう。これらを総合すると、「6月相場が上に行くのか下に行くのか」の答えは「上だ」と言える。先週末2日のNYダウは219ドル高の2万4635ドル、ナスダックも112ポイント高の7554ポイントだった。
注目の米雇用統計(5月非農業部門雇用者数)は+18.8万人の事前予想を上回り、+22.3万人。平均時給が予想を上回ったが前年比+2.7%と穏便な数字で、失業率も予想3.9%を下回り3.8%と、2000年4月以来、18年1カ月ぶりの低水準となった。
EUが、米国の鉄鋼・アルミ輸入制限措置を世界貿易機関(WTO)に提訴し、総額64億ユーロ(約8200億円)相当の米国産品に関する報復関税の準備も始めたこともあり、ダウは0.9%高と戻りが鈍かった。それに対して貿易摩擦の影響を受けにくいナスダックは1.51%高だった。10年債利回りも上昇に転じた。
堅調な景気指標を確認、戻りを試す展開か
欧州の指標では、ユーロ圏・5月製造業PMI改定値は55.5(予想55.5)、英・5月製造業PMIは54.4(予想53.5)と良好な数字が出ている。また日経平均株価も、週末にしては意外にしっかりで、最終的には下落して2万2171円で引けたものの、適温相場の象徴であった月初高になるかと思わせる動きだった。
昨年の6月初旬は、2015年に2万0868円で天井を打った第1次アベノミクス相場が、その後の1万5000円割れから立ち直って再び2万円を回復した時だった。そして2万4000円取り相場のスタートになったことはご承知の通りだ。
今週は約1カ月の平均売買コストである25日移動平均線(2万2500円台)抜けから、再度上値トライへの期待が高まる。ただし8日は、最近では多い12億株前後の裁定買い残を抱えた形でメジャーSQ(SQは特別清算指数。3カ月に1度、先物とオプション取引両方の精算を迎えるため、こう呼ばれる)を迎えるので、一時的な波乱の展開も考えられる。
予定・イベントでは、同じ週末に出る5月の「景気ウォッチャー調査」(内閣府)に注目している。4月のそれは、現状判断DIが49.0、先行きが50.1と前月より改善し、トレンドの変化を見せているが、5月はどうか。4月の先行き判断が現状より1.1ポイントも良く、1-3月の法人企業統計でも設備投資増加率が前年同期比3.4%と高い伸びとなり、インバウンドの影響で小売りが好調なので、連続して改善すると予想する。GDPや企業決算にも大きく影響する数字なので、強く重要視している。
今週の日経平均株価の予想レンジは2万2100円―2万2700円としたい。
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