鉄道「現場職員」は30年でこれだけ減っていた JRはほぼ半減、トラブル多発の遠因?
東急電鉄田園都市線で昨年秋に連続した停電トラブルと、これを受けて行われた緊急点検について報じている、2月12日付東洋経済オンライン記事「田園都市線『トラブルゼロ』への長い道のり」では、田園都市線を運行する東急電鉄においても2000年代以降工事のアウトソーシングが進み、それに伴う若い世代への技術伝承が課題の1つとなっているとの現場担当者の声が紹介されている。
これはもちろん同社に限ったことではない。一概には言えないが、冒頭で紹介した石井国交相の言葉にもあるように、これらの施策の結果として生まれた「現場要員の高齢化や若手技術者の不足等の構造的な問題」が相次ぐトラブルの原因、あるいは遠因となっていることは否定できないだろう。景気の低迷による採用抑制や、コスト削減のため積極的に進められた外注化の流れが、ここにきてさまざまな課題を生むことになったのである。
鉄道会社の信頼は現場が支えている
そんな中で、鉄道各社は中途採用に力を入れるようになってきている。たとえば前記記事「田園都市線『トラブルゼロ』への長い道のり」では、東急電鉄の担当者が「『当社社員が実際に現場に触れる機会を増やさなければ』と、人材も増やしていきたいとの意向を示す」と、現場の人員を増やしていく考えを示している。
また、JR東日本は社会人採用・経験者採用を大規模に行っている。同社は、トラブルの発生は「人的側面だけを原因にすることはできない」としているが、職員数が減っている状況の中で社会人採用を積極的に進めていることは、鉄道事業における年齢構成のゆがみを少しでも改善しようという意思の表れだろう。
鉄道の現場の仕事は、鉄道業の屋台骨を支えるということで重要な仕事ではあるものの、直接的に利益を生む性格のものではなく、削ればそのぶん経費が削減できるという側面があるのは事実だ。しかし、関連事業で利益を上げるにしても、それを支えているのは鉄道の信頼性である。鉄道の現場を支える人材の充実は、企業グループ全体の信頼と収益性を支えるうえで極めて重要なのだ。
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