鉄道「現場職員」は30年でこれだけ減っていた JRはほぼ半減、トラブル多発の遠因?
一方で「輸送障害」の件数は増えている。これは、列車の運休や旅客列車の30分以上の遅延などを指すもので、たとえば自殺や動物との衝突、地震など自然災害による障害が含まれる。2016年度の輸送障害の件数は5331件。国土交通省の資料によると、1987年度には1842件だったため、この30年で大幅に増えたことになる。
このうち、鉄道係員や車両、施設に起因する「部内原因」は1987年度には910件だが、2016年度は1373件。事故は減っていても、利用者が「トラブル」と感じる列車の遅れや運休などが鉄道内部の要因で起こるケースは増えているのだ。
職員数は減り続けてきた
トラブルの背景にはさまざまな要因があるが、ここで注目されるのが鉄道の現場を支える職員数が減少し続けてきたことだ。輸送障害の増加と「部内原因」が増えていることについては、2000年代半ばの時点で国土交通省・交通政策審議会の「鉄道部会」においても指摘されており、ここでは現場の職員数の減少についても述べられている。
2007年に開催された第2回の同部会資料では、年々増加傾向にある輸送障害について「特に係員の誤りや車両の故障による『部内原因』が徐々に増加傾向にあることは懸念要因」と指摘し、さらに鉄道の現場の職員数について「本社に比べ現業、特に駅務員、車両、電気、工務部門で職員数が激減している」としている。
実際にどの程度職員数は減ったのか。「鉄道統計年報」に掲載された職員数を比較すると、1987年度に約16万4600人だったJR7社の現業部門(現場)の職員は、2000年度には約11万6000人、2015年度にはほぼ半分の約8万7000人まで減少。その一方、1987年度には約2万7000人だった本社部門の人数は2015年度には約2万9800人に増えている。
民鉄(大手私鉄・中小私鉄・公営交通などの合計)はJRほどではないものの、1987年度には約8万7000人だった現業部門の人数は、2015年度には約7万人となっている。
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