最近でも、5月18日の巨人対DeNA戦では、5回表に3-3と同点に追いつかれる失点を許した巨人のエース、菅野智之はその裏に勝ち越しの本塁打を左翼に放っている。エースのプライドをかけた意地の一打は巨人ファンならずとも胸のすく見ものだった。
そういうのが見られるのなら、DH制なしもいいが、本塁から遠く離れて打席に立ち、ハエでも追うようにバットを振って無気力に三振するセの投手を見ると「誰かほかの選手に打たせてやれよ」と思ってしまう。そういう光景がめっきり増えているのだ。
DH制導入の意義
世界の野球界では、DH制の導入が進んでいる。オリンピックやWBC、WBSC(世界野球ソフトボール連盟)の国際試合ではDH制が導入されている。
韓国や台湾のプロ野球、独立リーグ、マイナーリーグ、ウィンターリーグなどでもDH制が当たり前になっている。大学野球もDH制ありが主流だ。
DH制なしに固執するのは、NPBのセ・リーグ、MLBのナ・リーグ、そして日本の高校野球、東京六大学、関西大学野球など「伝統」を標榜するリーグが多いのだ。
68年前、NPBのセ・パ両リーグは、けんか別れのように分立した。本来、パ・リーグに加盟するはずだった大阪タイガース(現阪神)が、土壇場でセ・リーグに走ったため、怒った毎日オリオンズは、別当薫、若林忠志など大阪の主力を引き抜いた。
他にも引き抜き合戦があちこちで見られ、両リーグは決定的に対立。このために分立1年目の1950年にはオールスター戦が開かれなかったくらいだ。
以後も両リーグの対立関係は続く。2009年にはセ・パ両リーグは統合され、コミッショナー事務局のもと、1つの組織となったが、それでも東日本大震災後の公式戦の開催時期をめぐってセ・パで意見が分かれるなど、今も対抗意識は強い。取材をしていても両リーグのスタンスの違い、企業文化の違いを感じることがしばしばある。
「古い方のリーグ」「伝統あるリーグ」セ・リーグにとっては、パのやり方を追随するのは沽券にかかわるのかもしれないが、「弱いからやめよう」と後ろ向きになるのは、格好悪いし健全ではない。
そろそろセントラル・リーグも、リーグ、野球界の発展のためにも、DH制の導入を考えてみてはどうだろうか?
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