プロ野球交流戦、なぜ「セ・リーグ」が弱いのか

非公式戦、日本シリーズ戦績でも見えた事実

こうした「野球の質」の差異は、データにも表れている。

2017年のNPBのデータでいえば、準レギュラークラス以上と言える100打席以上の打者の数は、パ・リーグが92人に対し、セ・リーグは80人。投手に打席を回す分、セ・リーグのほうが1球団当り2人も少ない。

また、各リーグの完投数は、セの34回に対し、パは57回。パのほうが67%も多いのだ。

もちろん、交流戦のパの主催試合ではセ・リーグもDHを含むオーダーを組む。しかし、もともと8人の正選手しか用意していないから、にわか仕立ての経験値の低い打者を組み入れることになる。パ・リーグの打線に比べて見劣りすることが多い。

また投手もパのほうがセよりも長いイニングを投げた経験のある投手が多い分、有利だと言えよう。

もう1つ、留意すべきはこの間に両リーグで投手の分業が進んだことだ。これによって、DH制のないセ・リーグでも投手が打席に立つ機会は減った。そして、投手の打撃に対する期待感も減少した。

投手の打撃力は衰退している

NPBの資料を基に、セ・リーグの投手のトータルの打撃成績を30年前と比較する。

2017年 
1474打数147安打8本塁打65打点 750三振 打率.100
1987年
1759打数264安打9本塁打108打点 647三振 打率.150

パ・リーグと異なり、投手が常時打席に立つセ・リーグだが、それにもかかわらず投手の打撃力は衰退しているのだ。今どきのセ・リーグでは大部分の投手は、相手チームにアウトを1つ献上するためだけに打席に立っている。いわば、セは打線に穴が開いている状態で試合をしているともいえるのだ。

それでもDH制がないほうのリーグが勝ち越しているシーズンがわずかながらあるのは、両リーグの戦力が不均衡だったからだろう。

V9時代以前の巨人のように、高校、大学のトップクラスの選手をそろえ、なおかつ各球団の主力級を引き抜くような、圧倒的な大戦力の球団であれば、DH制がなくても交流戦に勝つことは可能だろう。

DH制の有無で、勝敗に明らかな差が出るのは、両リーグを通した戦力均衡が進んだ証左でもあるのだ。

筆者は個人的にはDH制は、それほど気に入っていない。

味方のチャンスで投手の打順が回る。「ああ、万事休すか!」と思いきや、打つ気満々の投手が起死回生の一打を打つ、というのは野球ならではの意外性のあるドラマだ。

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