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「平成の終了」で企業が抱える想定外のリスク カレンダーやIT業界以外にも影響がある

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  • 鈴木 洋仁 神戸学院大学現代社会学部准教授
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改元の影響は、予想外の業界にも波及する可能性がある。ジャーナリストの村上敬氏は、「来春『改元』で『平成』が商標登録可能に」の中で、「平成」を社名に冠した企業が「商標ビジネス」に巻き込まれるリスクについて指摘している。

商標ビジネスとは、いち早く獲得した商標を他社に売却や、使用するためのライセンス料の徴収を求めることで利益を得る行為。こうした商標ビジネスの問題は近年注目を集めており、昨年には大阪の会社が自社の商品やサービスと無関係にもかかわらず、「ピコ太郎」や「立憲民主党」「北陸新幹線」「ゲス不倫」などさまざまな商標を出願し、ピコ太郎の所属会社であるエイベックスに対して「ライセンス許諾を受けるように」などと警告書を発したことが問題視された。

現状、「平成」という言葉を使った単語は商標登録できない。しかし改元を経れば、平成は現元号ではなくなるため、商標登録できるようになる。すると平成そのものはもちろん、たとえば「平成建設」のように、「平成」+「業種名」での商標登録が可能になる。

東京商工リサーチの調査によれば、平成を社名に含む企業は、全国で1270社。業種別では、サービス業が372社、建設業が334社ある。たとえば「平成建設」は同社に登録されているだけでも全国に49社あり、こうした同名企業こそ商標ビジネスに巻き込まれるリスクがある。あるいは、複数の同名企業にある社名やサービス、商品の商標登録をめぐる混乱も予想される。

改元の恩恵を受ける業界もある

一方で、改元の恩恵を受ける業界もある。それは官公庁や銀行を取引相手とする印刷業界だ。

ペーパーレスが進んでいるとはいえ、霞が関をはじめとする全国の官公庁や銀行はいまだに書類偏重の「昭和」な世界。昨年12月に天皇の代替わり日程が決まった時点では、複数の印刷会社の株価が上昇した。書類ベースで動く会社はまだまだ全国に数多くあり、改元に伴う印刷需要の盛り上がりが予測される。

また、「平成」を早くもレトロなものとして振り返る「懐古ビジネス」もすでに始まっている。若い人は信じられないかもしれないが、「平成」期はCDが大変売れた時代だった。小室哲哉プロデュースのCDをはじめ、浜崎あゆみ、GLAY、B’zといったアーティストのCDが、次々にミリオンセラーとなった。

こうしたCDを買い求めた世代が、アラフォーに突入しつつある。彼ら彼女たちは、現在主流となっている音楽配信よりも、モノとしてのCDに愛着を持っており、だからこそ、昨年引退を発表した安室奈美恵のベストアルバムは、発売2カ月で200万枚を突破した。

年長者が飛びつく商品、いわば「おっさんホイホイ」と呼ぶかどうかはともかく、「平成」への懐古ビジネスはこれからが本番であり、とりわけ斜陽・衰退と言われて久しいCD業界にとっては改元によるメリットを享受できるチャンスとなるかもしれない。

さまざまな期待や不安、リスクやメリットを想定しながら、残り1年、「平成」の終わりに向けたカウントダウンが続いていく。

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