ソニーは今期営業益6割減額の大幅下方修正、中期も見通し厳しく構造改革へ
ソニーは、今2009年3月期業績予想を下方修正した。円高とテレビなど主要エレクトロニクス製品の競争激化が要因で、修正後の営業利益は従来予想から57%減少し2000億円(前期比46.6%減)となる。ソニーは、製品市場の厳しさは中期的にも続くとみており、生産拠点や投資対象の見直しなどを軸とする構造改革プランの策定に乗り出した。
営業利益の従来予想は、4700億円だった。減額した2700億円のうち、1300億円が円高の影響。ソニーの従来の為替想定は1ドル105円、1ユーロ162円だったが、9月以降に急激に円高が進んだ為替相場とは、大きくかい離する結果となった。特にユーロ安への感応度が高く、1円の円高で営業益75億円の減少要因となる。ドルは1円高で40億円の減少となる。
製品市場の環境悪化に起因する減額分は、900億円。液晶テレビは、中小型で25%の価格下落を想定していたが、現状では想定より2~3ポイント高い下落幅となっているという。また、米国、欧州、中国では販売台数そのものの伸びも鈍化している。ソニーは今期、液晶テレビ事業の黒字化(前08年3月期は730億円億円の赤字)を見込んでいたが、実現は至難となったという。年間の販売台数見通しも従来の1700万台から1600万台へ100万台下方修正した。前期稼いだデジタルカメラとビデオカメラも販売が鈍化しており、それぞれ販売見通しを下方修正している。
また金融分野でも営業利益予想を600億円減額した。株式相場の下落に伴う転換社債の評価損と株式減損の計上によるもの。一方、従来持分法適用会社だったソニーBMG・ミュージックエンタテインメントの完全子会社化(10月1日付)は、営業利益100億円の増加要因だった。
ソニーは、エレクトロニクス製品の競争環境が中期的にも極めて厳しい状態が続くと見ており、「かつてない事態。(来期以降は)かなり思い切った改善計画をやらなくてはならない」(大根田伸行CFO)として、年内をメドに新たな構造改革プランを策定する方針を明らかにした。すでに9月から、日常的な固定費の削減など大幅なコスト見直し策に乗り出しているものの、今後の難局に向けて対策が不十分、という認識だ。ただ今夏の中期経営計画で示した、2011年3月期に営業利益率5%という目標は現状では変更しない。
「東洋経済オンライン」は、ひとまず今期業績予想を、会社予想数値より保守的な表記程度とした。会社想定よりも対ユーロの円高進行が厳しいと見ている。ソニーは10月29日に4~9月期業績を開示し、実績や今後の見通しについて改めて説明を加える。これらの発表を踏まえて、「東経オンライン」も予想を見直す。
(杉本 りうこ)
《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 売 上 営業利益 経常利益 当期利益
◎本2008.03 8,871,414 374,482 466,317 369,435
◎本2009.03予 9,000,000 185,000 195,000 140,000
◎本2010.03予 9,200,000 220,000 230,000 160,000
◎中2007.09 4,059,547 189,793 171,682 140,170
◎中2008.09予 4,050,000 85,000 70,000 56,000
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1株益¥ 1株配¥
◎本2008.03 368.3 25
◎本2009.03予 139.5 50特
◎本2010.03予 159.4 50
◎中2007.09 139.8 12.5
◎中2008.09予 55.8 30特
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