伊豆大島台風被害、一気に襲う土石流の怖さ 万全の溶岩流対策の一方、抜け落ちていた土石流対策

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夕暮れが迫る中、元町神達地区で懸命に行方不明者の捜索を続ける消防団員ら

全島民が避難した1986年の噴火が落ち着いて以来、三原山には避難路としてあらたな林道「御神火(ごじんか)スカイライン」が開通。道路沿いにはふもとから中腹にかけて徐々に建物が増えていった。

土地の安さや観光地としての魅力が人を呼び寄せたのだろう。そこに新しい人家が立ち並んでいた。それらが土石流災害により、なくなってしまった。皮肉にも、360度視界がひらけた神達からの眺望は、悲しいほどに美しい。

島全体が溶岩流でできている

そこに住み着いた人たちを、誰が非難できるだろうか。下田さんは「私は山を売らなかったが、売ってくれと頼まれたら考えたかもしれない。溶岩流が危険と言ったって、この島自体が溶岩流でできているわけですから」と代弁する。

下田さんが言うように、大島は島全体が火山。過酷な自然とともに、大島の人たちは何千年と暮らしを営んできた歴史がある。火山噴火の主な現象である溶岩流という脅威についても、よくわかっており、死なないために、さまざまな防災対策を講じてきたはずだった。

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