「安倍3選」に向け吹き始めた"追い風"の正体 永田町の風向きは急速に変わりつつある

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それは各政党の持ち時間が短くなったことだ。最大の立憲民主党でも17分程度で、国民民主党は14〜15分。しかも国民民主の場合、2人の共同代表がそれぞれ質問に立とうとすれば、1人あたりの時間がさらに短くなる。持ち時間が短くなればなるほど、質問する側が深く追及できなくなり、きわめて不利になる。

野党側がきちんと連携を組んで役割分担すれば、追い詰めることも不可能ではないが、これまでの実績を見る限り、それは期待できそうにない。公文書改ざん問題について佐川宣寿前国税庁長官を証人喚問した時も、柳瀬唯夫元首相秘書官を参考人招致した時も、野党の追及は十分ではなかった。質問者それぞれが自己アピールに走ったため、質問が上滑りになる面が多々あった。

外交面でも追い風が吹き始めている

このような悲惨ともいえる野党の様子をみる限り、野党の支持率は上がりようがない。安倍政権としては、野党の支持率が高まらない限りは内閣支持率が多少低迷しようとも恐れる必要はない。自民党内での「安倍おろし」の声が小さくなったのも、そのためだろう。

「追い風」はこれからも吹く。6月12日に決まった米朝首脳会談では、盟友のドナルド・トランプ米大統領が拉致問題についても言及し、安倍首相に花を持たせてくれることが見込まれる。

4月18日、フロリダで行われた首脳会談で談笑する安倍首相とトランプ大統領(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

安倍首相はゴールデンウイーク中の4月29日から5月3日、中東諸国を訪問し、米政府によるエルサレム首都宣言の影響を回避すべく外交努力をしており、これはトランプ大統領にとって嬉しい援護射撃だった。その恩返しくらいはしてくれるだろう。

自民党のある若手議員がこう言った。「安倍さんというのはとても不思議な人で、なぜか協力してあげたいと思わせる魅力がある。これは石破茂さんにはないし、ましてや小泉進次郎さんにはないものだ」。再度上昇運に乗り出した安倍首相。このままいけば総裁選3選は確実の様相だ。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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