東京駅の「京葉線ホーム」があんなに遠いワケ

新幹線の夢の跡に生まれた地下ホーム

だがそもそも、成田新幹線の駅がこの位置に計画されたのはなぜだろうか。

1974年3月の日本国有鉄道第一東京工事局の雑誌『東工』には、「成田新幹線の計画」という記事がある。そこでは、「都内ターミナルの位置」という項目で、起点となる都内ターミナルの選定条件について

(ⅰ)利用客の利便性
(ⅱ)都内交通機関との連絡
(ⅲ)ルートとの関連
(ⅳ)用地確保の容易さ
(ⅴ)将来の全国新幹線網の構成

を挙げており、

以上を勘案すれば東京駅の鍛冶橋道路下が最も有利であり、それらを具体的に上げると
(イ)都心に直結している。
(ロ)在来線、二次交通機関との連絡等すべてに便利である。
(ハ)接客設備に必要な用地を鍛冶橋付近の国鉄用地11,000㎡を利用できる。
(二)将来新宿方面に延伸する場合、道路等公有地を利用でき延伸可能である。

として、鍛冶橋付近が駅の予定地として優れている理由を説明している。だが、ここには気になる文言がある。「新宿方面に延伸」とは何なのだろうか。

新幹線の新宿乗り入れ構想

実はかつて、上越新幹線のターミナルを新宿駅に設置する計画があった。成田新幹線は、その新宿駅と結ばれる可能性があったのだ。前記記事の「将来新宿方面に延伸する場合」とは、そのことを指しているのである。

新宿延伸が実際に検討されていたことは、当時の新聞記事から読み取ることができる。

読売新聞1971年11月26日付朝刊に掲載された「成田新幹線の新宿起点、年内に結論」という記事は、「これまで成田新幹線の東京都内のターミナルは東京駅八重洲口側の鍛冶橋の国鉄用地に地下で設けられることに内定していたが、これを将来新宿駅に移すという構想が篠原武司同公団(注:日本鉄道建設公団のこと)総裁らの主張によって浮かび上がってきた」と、国鉄と鉄建公団が成田新幹線のターミナルを上越新幹線と同様、新宿に設けることを検討すると報じている。

次ページ鍛冶橋通り地下は「新宿を目指す場所」だった
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