セブン、「ネットコンビニ」拡大に向けた難題 新規顧客の開拓狙うが、現場負担増の懸念も

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今回のネットコンビニの配送を担うのは2017年に業務提携したセイノーホールディングスが設立した宅配子会社、GENIe(ジーニー)だ。加盟店はジーニーに配達料を支払う必要がある。会社側は「加盟店が負担するが、本部も金銭的にバックアップする」と説明。古屋社長も「客単価2000円として1日3件注文があれば店の損益分岐点を下回らない」と話すが、思惑通りいかなければ加盟店の負担が増すこともありえる。

首都圏で需要が見込めるのか

サービスそのものに対する需要も未知数だ。買い物難民が想定される地域であれば一定の需要は見込めるかもしれない。だが、店舗数の多い首都圏や中核都市でも、現在実験しているエリアのような需要が見込めるのだろうか。さらに、全国展開を視野に入れる中、配達を担うジーニーについても、十分なドライバーを確保できるのかも不透明だ。

セブンの古屋一樹社長は配達を担うジーニーのドライバーについて、「地域に住んでいる女性を中心に、問題なく採用できるだろう」と語った(記者撮影)

コンビニを中核事業とするセブン&アイグループは、デジタル戦略の転換点を迎えている。2015年11月に立ち上げたグループ統合ECサイト「オムニセブン」は軌道に乗らず、2017年度決算ではオムニセブンにかかわるソフトウエアの大半が減損処理され、234億円の損失を計上した。

目下、会社が掲げるデジタル戦略のキーワードは「CRM(顧客関係管理)」。6月からはコンビニのセブンや総合スーパーのイトーヨーカドーを皮切りに、業態ごとにスマートフォンアプリを順次立ち上げる。客の購買行動をリアル店舗でも把握、新しいサービスにつなげる狙いだ。

ネットコンビニは、新たに立ち上がるセブンアプリとは別のWebサービスを活用する。短期間に多くの新サービスが乱立する事態となり、消費者側からはわかりづらさもあるだろう。会社側はネットコンビニをデジタル戦略の柱の1つと位置づけるが、アマゾンを中心に競合も攻勢を掛ける中、今回の取り組みを軌道化させるのは決して容易ではない。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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