セブン、「ネットコンビニ」拡大に向けた難題 新規顧客の開拓狙うが、現場負担増の懸念も

拡大
縮小

ただ、サービス拡大にあたっては課題も見受けられる。最大の問題は店舗オペレーションの負荷だ。

今回のネットコンビニは利用する際には、まずスマホで依頼する店舗を選んだうえで、商品を注文する。注文を受けた店舗の従業員は、注文された商品が店舗にあるかを確認し、タブレット端末に在庫の有無を入力。その後、在庫状況は注文した客のスマホにショートメッセージで届く。在庫がなかった場合、客は再度購入する商品を決めるか、キャンセルするかを選んで、ようやく注文が確定。従業員は商品を売り場からピックアップし保管、配送会社に引き渡すという流れだ。

加盟店オーナーからは不安の声も

このようにコンビニ店舗の従業員は、在庫確認や商品のピックアップなど作業量の増加が懸念される。古屋社長は「加盟店はすごく関心を持っている。やるやらないは加盟店の判断だが、店にそんなに負荷がかかるものではない」と強調する。

注文はスマートフォンから行い、北海道地区では3000円以上の注文で送料無料となる(写真:セブン&アイ・ホールディングス)

だが、関東地区でセブン店舗を運営する加盟店オーナーは「ネットコンビニは、いつ注文が入るかわからない。即時性が求められるサービスだと思うが、オーナーや従業員が注文状況のチェックに張りつくわけにはいかない」と不安を口にする。

すでにセブンは、食品を中心とした宅配サービス「セブンミール」を展開している。通常のセブン店舗にはない健康志向の弁当や調理キットなども扱っているのが特徴だ。配達方法は加盟店のスタッフが担うか、加盟店が配達料を負担して外部に委託するかの2通りだ。前出のオーナーは「配達にコストがかかり、赤字。自分の周りのオーナーはセブンミールの取り扱いをどんどんやめている」と打ち明ける。

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