北朝鮮が韓国に「電力支援」を切望する事情 発電所の低稼働や送電網の改善が必須

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「徒歩橋」での両首脳(写真: Korea Summit Press Pool via Reuters)

南北首脳会談が行われた4月27日、板門店内の「徒歩橋」で2人の首脳がサシで向かい合った。2人が何を話したのか、その内容は一言も聞こえてはこなかった。さらに両首脳は、そこから板門店内「平和の家」へ戻った直後にも10分以上対話したという。過去2回の首脳会談では、首脳同士が同伴者なしで長時間対話したことはなかった。

当記事は韓国の経済誌「中央日報エコノミスト」掲載記事の日本語訳です

実は、両首脳が散策を終えて平和の家に戻る道すがら、その様子を映したテレビカメラを通じて「発電所問題……」と聞こえてきたシーンがあった。非核化の話をした後、北朝鮮の電力問題について議論したのではと見られている。

発電所建設など電力問題は、北朝鮮が毎回非核化の代償として要求してきた事案だ。1994年、ジュネーブでの「枠組み合意」では北朝鮮に軽水炉を提供するとの合意がなされた。2002年に北朝鮮の核開発疑惑が再燃して軽水炉支援が中断された。2005年に北朝鮮の核問題を協議する6者協議で9.19共同声明が発表された際、韓国から200万キロワットの電力を送電する、いわゆる「重大提案」が北朝鮮に示された。

北朝鮮の発電量は韓国の20分の1

北朝鮮にとって、電力供給の改善は焦眉の課題である。現在、北朝鮮の電力難は慢性的で深刻なレベルだ。2016年基準で、北朝鮮の発電設備使用量(すべての発電所を1時間完全に稼働した場合の電力生産能力の合計)は766万キロワットで、韓国の1億0586万キロワットと比べると7.2%にすぎない。

総発電量は239億キロワット時で、韓国の5404億キロワット時の4.4%だ。北朝鮮の送配電損失率は20%以上とされている。発電所で100の電気を生産しても、変圧器や送配電線を経て使用する場所に送られるまでに20%以上が消えてしまうことになる。地上の工場と比べて30%ほど電力が追加的に必要とされる地下の軍需工場の運営などが、北朝鮮の電力難をより深刻な状態に追い込んでいる。

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