松屋銀座、GINZA SIX効果薄れても活況のワケ

「ピュア百貨店」と呼ばれる老舗の老獪戦術

同店が重視する戦術は大きく3つある。1つ目は「選択と集中」だ。十分な売り場スペースを確保できない分、売れ筋の分野や商品を見極めた編成を重んじる。

前年度から販売が好調な化粧品は売り場を拡張している。昨年6月にセレクトショップ「フルーツギャザリング」を、続いて8月には幅広い層に人気の自然派化粧品「ロクシタン」やフレグランスブランド「ロジェ・ガレ」を新規導入した。

同時に、「男性が考えている以上におカネがかけられている」(松屋のIR担当者)という婦人靴もスペースを広げ、高級靴などのラインナップを拡充。今年8月には、「顧客当たりの販売単価や買い上げ点数が高い」(同)とする子供服売り場の再編成を実施する。やはり店舗面積が限られているため、数多くのブランドを誘致するのではなく、売り上げを伸ばしている人気ブランドの店舗を拡張することに重点を置くという。

「催事の積極化」で誘客図る

一方で、国内ブランドの婦人服は不調なため、その売り場を縮小する方針だ。百貨店業界に詳しいオチマーケティングオフィス代表の生地(おち)雅之氏は松屋銀座について、「コンパクトにまとまっている」と、売れ筋を考慮した買い回り性の高い売り場構成であることを評価する。

開業から1年が経過したギンザ シックス。初年度は来場者が2000万人を超えた(編集部撮影)

重視する戦術の2つ目は「継続的な改装」である。先述した化粧品の売り場だけでなく、2014年に食品、2015年に紳士服、2016年にリビング、そして2017年に時計と、それぞれの売り場を矢継ぎ早に改装してきた。

2019年11月には創業150周年を迎えることもあり、ラグジュアリーブランドの再編成に着手する。「2013年に実施して以来の大規模な改装になる」と、IR担当者は強調する。

3つ目は、百貨店の定番である「催事の積極化」だ。日本の百貨店は「家族で楽しめる場」として、美術展や地方物産展などの催事を頻繁に開催してきた。ギンザ シックスなどのショッピングモールは全館で統一した催し物の展開が難しいこともあり、松屋銀座は催事強化こそがライバル商業施設との差別化になると見ている。

松屋銀座では芸術などと絡めた展示会「文化催事」の開催はこれまで年間10本程度だったが、前2017年度は年間22本も実施。関連売上高で11億円を計上し、69万人もの来場客を動員した。今2018年度も同程度の開催本数を予定している。

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