GW直撃?「ガソリン価格」はどこまで上がるか 昨年より1割高、今後の原油高を読むポイント
4月20日に行われた協調減産の状況を点検する共同閣僚監視委員会(JMMC)では、減産順守率が149%と過去最高となり、原油価格を押し上げた。減産順守率は減産枠に対する実際の減産量の比率で、100%を超えたのは、ベネゼエラの生産低迷があったためだ。協調減産を主導するサウジアラビアは6月22日のOPEC総会でも減産継続を強く主張するものとみられており、協調減産の行方に注目が集まっている。
イラン制裁の動きが一つの焦点
経済の多くを石油に依存するサウジアラビアにとって原油価格は国家財政に及ぼす影響が大きく、数年前から原油価格下落による財政赤字が続いていた。協調減産による原油価格上昇で収支は回復傾向にあるものの「まだトントンの状態にはなっていない」(津賀田氏)。
一部報道ではサウジアラビア当局者が非公開の会議で1バレル=80ドルから100ドルが望ましいと発言したと伝えられた。原油価格は米国のシェールオイル増産の動きにも左右されるが、今後80ドル以上という展開もないとは言い切れない。
中東の地政学リスクも原油価格を大きく左右する。4月の米英仏によるシリア攻撃で原油価格は上昇した。5月12日には、トランプ米大統領がイランへの経済制裁を再開するか否かを決める期限を迎える。仮に制裁が再開されれば、原油価格が反応することは避けられない。
一方、最近のガソリン価格の上昇について、原油高の影響が大きいとしながらも国内事情の変化を指摘する声もある。
国内では2017年にJXホールディングスと東燃ゼネラル石油が経営統合し、JXTGグループが誕生するなど元売再編が進んだ。石油精製設備もエネルギー供給構造高度化法に基づき、石油精製設備の廃止が進んだことで余剰ガソリンが格安に転売市場に出回ることは少なくなり、市況の安定につながっている。
ガソリン価格上昇の材料が多い一方で、下落する材料を見いだすことはなかなか難しい。ゴールデンウィーク後もしばらくは、ガソリン価格が上昇する展開が続きそうだ。
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