エマニュエル: くみは日本とフランスとでは、男性の女性への接し方が違うなと感じることはあるの?
くみ: そうね。私はパリに住んで10年以上になるけれど、日本とフランスで男女の関係にまつわるさまざまな違いは、日頃から目にすることが多いわね。
エマニュエル: 僕が初めて日本に行ったときにすぐに気が付いた違いは、やっぱりレディファーストかな。
くみ : 確かに、レディファーストを実行している日本の男性は多いとは言えないよね。
外国慣れしている男性でもとまどう場面
エマニュエル : 古き良き日本男児のイメージとは真逆だし、どこかキザな感じが日本男性には照れ臭いのか、レディファーストって日本にはなかなか浸透しにくいのかな。
くみ: 私が仕事を一緒にしている日本人男性たちの例で言えば、外国の習慣に通じている人ほどレディファーストを自然にできる人が多い気がする。それでも、そんな日本人男性でもとまどう場面もあったわ。
たとえば、日本人とフランス人、取引先同士の数社の社長や幹部の男性たちとフランスで仕事をしたとき、皆でエレベーターに乗ったりレストランに会食に行ったりすると、いちばん年が若い私が、唯一の女性だというだけで最優先されるの。こういうとき、日本人男性たちはたいてい、相手方の社長を最優先しかけるのだけど、フランス人男性たちがそろって私を最優先するものだから、慌ててそれに合わせたり。
エマニュエル : フランスでも、最近は男女平等を尊重するためにレディファーストを廃止してはどうかという声もあがっているようだけどね。まぁでも、男性が女性をおいてわれ先にとエレベーターを降りるのは、どうしても恥ずかしいと感じてしまうんで、なかなか一般的には広まらないと思うけれど。
くみ: 個人的には、大切にされている気がして嬉しいことは嬉しいけれど、エマニュエルが言うように、男女平等、男女同権をこれだけ声高に叫んでいるフランスで、女性だからといって優先されるのもちょっと違和感がある。