乗降客数からは見えない「新幹線駅」の明暗 速達列車打ち切りの駅や「道の駅」で沸く駅も

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地元は開業後も、定期列車化を目指し、行政・経済界を挙げて新幹線利用促進運動を続けた。

その結果、開業2年目に当たる2016年度の1日平均乗車人員は1988人(在来線利用者を含む、以下同)と前年より59人増えた。北陸新幹線全体では利用者が前年から8%減っており、地元の奮闘は無駄ではなかったといえる。

しかし、富山駅(7843人、前年比58人減)、金沢駅(2万2268人、同331人減)と比べれば、絶対数での差は明らかだ。JR西日本は平日の臨時便運行の打ち切りを決め、高岡市民のプライドは大きく傷ついた。

ただ、県内には「仕方がない」という見方もある。富山駅─新高岡駅間は約19km、新高岡駅─金沢駅間は約40kmの距離で、いずれも1駅の区間だ。何より臨時便は上りが早朝に、下りが深夜に停車する。地元住民の首都圏往来を重視した設定で、外部から観光客を呼び込みやすいダイヤではない。

JR西日本は、週末のみ臨時便を残す理由として、平日より利用が好調だったことを挙げ、地元のビジネス利用に限界があった様子がうかがえる。

開業後に明暗が分かれる駅

北海道新幹線でも、開業後の明暗が分かれる駅が出ている。好対照なのが、新函館北斗駅(北海道北斗市)と木古内駅(同木古内町)だ。開業後1年間の1日平均乗車人員(自動改札機利用者)は、新函館北斗駅が約2100人、木古内駅は約100人と新函館北斗が20倍超。ただ、駅一帯の話題性は、木古内駅が勝っている。

新函館北斗の駅名は、道南最大の観光都市である函館市と、駅が立地する北斗市の確執の間で誕生した。長く仮称だった「新函館」をそのまま推す函館市側と、「北斗函館」を主張する北斗市側が互いに譲らず、現在の駅名に落ち着いた。だが、北斗市が約100億円を投じて道路や駅前地区を整備したにもかかわらず、5.3ヘクタールの商業地区は、ホテルやレストランが建ったものの空き地が目立つ。

函館商工会議所は、新幹線開業に伴って2016年度、函館市内に405億円の波及効果があったと試算している。だが、こうした観光面の効果をよそに、新幹線駅前の活用イメージは明確ではない。2030年度の札幌延伸に伴う新函館北斗駅の「途中駅化」や、函館市中心部から約18kmという距離を懸念し、様子見の気配が漂う。

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