「SUV×EV」戦略は混戦の中国市場でウケるか 北京ショー開幕、中国勢の躍進に日系も必死

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さらには、米のEVメーカー「テスラ」をベンチマークとする新興EVメーカーNIOが、3年弱で開発したSUV「es8」を発表。先進国では通常5年と言われる従来の開発サイクルを無視したスピードでクルマ作りが行われていることが伺える。民族系メーカーのキャッチアップの速さが、実際に製品として現れ始めているのだ。

BYDの王総裁(右)は、4月24日の滴滴出行との会見で、自動車産業の変革に向けた決意を語った(記者撮影)

中国はいまや年間の新車販売台数が3000万台に迫る圧倒的な市場規模を抱持つ。今後は、先進技術開発や新たな自動車ビジネスの面でも、中国が先行していく可能性が高い。中国のEVシェア1位を誇るBYD(比亜迪)の王伝福総裁は、ライドシェアアプリを運営する滴滴出行(ディディチューシン)との提携会見で「クルマ作りの革命が起こっている。メーカー側の意志よりも、ユーザーの目線に立ったより機能性・居住快適性を重視したクルマ作りへと変わっていく」と語った。

危機感を抱く日本車メーカー各社 

日本車メーカーの中国担当者は口々に「価格競争力だけでなく品質でも非常に力をつけている。こちらから勉強しなければならないことも増えている」と民族系メーカーの成長に危機感をあらわにする。

中国のEVメーカー、BYD(比亜迪)が出展した「E−SEED」は、中国風のデザインを意識して作られたSUVのEVコンセプトモデル(記者撮影)

中国政府が製造業の要として、自動車産業を強化していくことは、中国メーカーにとって大きな後ろ盾だ。一方、日系や欧州など外資系メーカーにとっても、新車の開発や調達、それにさまざまなサービスの展開に中国系パートナーの存在は欠かせなくなっている。たとえば、日産はシルフィの電池を現地系企業から調達するほか、ホンダも新EVを現地のカーシェア事業会社リーチスターと提携して稼働させる方針だ。

現地企業の力を借りつつも、日本車の存在感をどう高めていくか。熾烈な競争を勝ち抜くためには、少しでも先のクルマの姿を想像しながら成長戦略を描き、タイムリーにアップデートすることが必須と言えそうだ。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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