「SUV×EV」戦略は混戦の中国市場でウケるか 北京ショー開幕、中国勢の躍進に日系も必死
日本車メーカーも売れ筋車種を使い、堅実にNEV規制対応を進める。ホンダは、人気のコンパクトSUV「ヴェゼル」をベースとした「理念EV CONCEPT」を発表。2018年中に市場投入する。日産自動車も、年間42万台と最も販売台数が出ている主力セダン「シルフィ」のEVモデル「シルフィ ゼロ・エミッション」を発表した。トヨタはまだEVを用意できていないが、売れ筋セダン「カローラ」と「レビン」のPHVモデルを発表した。
そして、中国市場での電動車の発売目標について、トヨタは2020年までに10モデル、日産は2022年までに100万台、ホンダは2025年までに20モデルを用意するとし、それぞれの目標が出そろった。
ホンダが電動車について具体的なモデル数の目標を示すのは今回が初めてで、それだけ中国市場を意識している証と言える。ホンダは2017年に過去最高の145万台(前年比約15%増)を販売。好調な販売を受け、2019年前半に湖北省武漢に年間生産能力12万台の新工場を稼働させ、生産能力を増強する計画だ。
民族系はデザインや先進技術を進化
しかし、電動化について言えば、日系メーカーの動きが弱腰に見えてしまうほどの急速な勢いで追い上げを見せるのが、中国の現地メーカーだ。今回の北京モーターショーでも、政府の資本が入っていない民族系メーカーが底力を見せる。
長城汽車はプレミアムSUVブランド「WEY」からPHV「P8」を、吉利汽車は独自ブランド「LYNK&CO」からPHV「01 PHEV」を発表するなど、中国で売れ筋の大型SUVで、EVやPHVを仕上げてきた。
これらのモデルは価格競争力があるだけではない。近未来風のデザインや、スマートフォンとの連携機能・カーシェアリング機能の標準装備など先進性も取り入れ、一見すると欧州プレミアムメーカーに引けを取らない。
吉利は傘下にスウェーデンのボルボ・カーや英ロータスなどを擁していることから、欧州のカーデザインや先進安全技術をほぼ時間差がなく取り込むことができる。最近では独ダイムラーの株式を約9.7%取得して筆頭株主になるなど、中国メーカーが世界の有力自動車メーカーと渡り合えるようになってきたのは、世界の自動車業界の大きな変化だろう。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら