共学校が男尊女卑を促しかねないという逆説 もはや絶滅危惧種!?男子校・女子校の魅力
もう1つの理由として、男子校・女子校という環境に、それぞれの性を効率的に伸ばす積極的な要因があるのだろうか。
この点についてはアメリカで大論争があった。
男と女は先天的に違うとして、男女別学を強く推進したのが小児科医で心理学者のレナード・サックス博士だった。男女の脳の組織的・機能的な違いから、男女それぞれにとって効果的な学習法は違うと主張した。
それに「ちょっと待った」をかけたのが神経科学者のリーズ・エリオット博士。エリオット博士は、性差があることは認めたうえで、それが脳の構造によって先天的にもたらされるわけではないと主張した。また「男女別学が優れていることを決定的に示す証拠は存在しない」として、むやみに男女別学校を推進しない立場を表明している。
しかしエリオット博士も、「今すぐ、男の子のために手を打たなければいけないのは明らか」「学校は男の子にとって以前より過ごしにくい場所になっている。教師や親は男子特有の長所短所を知り、有効とされる教授法を踏まえたうえで指導すべき」「特に、男女が発達期に互いに距離を置き、保護される時期をつくることはよいかもしれないという考えには説得力がある」と訴えている。
「社会の縮図」の中で再生産される男女不平等
俗に「男脳」「女脳」という脳の先天的な構造の違いをことさら強調するのは危険だと私自身は思う。しかし集団としてみた場合、男の子ばかりの集団と女の子ばかりの集団とではふるまいが違うことが顕著にわかる事例がある。運動会だ。
男子校の運動会では例外なく、学年を縦に割ったチーム対抗戦の形式だ。中高一貫校であれば、中1から高3が同じチームとなり、先輩が後輩を指導して、勝利を目指す。共学校でも同様であるはず。一方、多くの女子校の運動会は、学年対抗で競われる。よほどの番狂わせがない限り、高3が優勝する。
女子校出身でないと、そんな勝負の何が面白いのかと思うかもしれない。しかし、女子校の生徒たちに聞くと、縦割りのほうが面白くないのだそうだ。
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