1年で株価10倍、「オリゴ糖食品」急成長の裏側 北海道発ネット通販企業「北の達人」が爆進中

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木下社長は、「新商品開発は数十品を同時に進めており、試作品もたくさんつくるが、モニター調査を経てびっくりするほどいいものができたと確信したときしか商品化しない。生産委託先からは条件が厳しいので嫌がられるが、だんだんわかってくれるようになる。ここ1~2年で5~10種類ほどの新商品を出せる体制が整った」と振り返る。

北の達人の商品の特徴は、便秘、アトピー、ニキビなど体の悩みの解決をサポートする健康食品、化粧品に特化していることだ。これらは、競合の比較的少ないニッチ分野。そのため商品1つひとつの売り上げは大きくないが、ブームにも左右されにくく、長く購入してもらえる。

「当社の商品はすべてリピート性がある。売り上げの7~8割が定期購入なので、業績は極めて安定している」(木下社長)。ネット通販では、広告を減らした途端に、売り上げも減る傾向がある。北の達人は定期購入が主体のため、東日本大震災の後しばらく広告を自粛したにもかかわらず、増収増益が続いた。

ヒットのカギは緻密なネット広告戦略

ニッチ分野に特化した商品だけを販売しているとはいえ、それだけで成長がこれほど加速するのは難しい。ここでカギを握っているのが、広告宣伝戦略だ。

北の達人は以前ネット広告を中心に、売り上げの17~18%を広告宣伝費に使っていた。それを2017年2月期には22%に増やすと同時に、それまでの代理店委託から自社運用に切り替えた。さらに2018年2月期は、広告宣伝費比率が30%に達した。

北の達人コーポレーションが運営する「北の快適工房」のウェブサイト。段々と商品ラインナップが増えてきた

自社運用に切り替えたことで、広告が何回クリックされ、クリックした人が何%の確率で購入し、平均単価はどれくらいだったか、といった数値が細かくわかるようになった。こうしたデータを分析し、広告を効率よく出稿することが可能になった。たとえば、いつ、どの媒体に、どのようなキャッチコピーの広告を出せば、購買につながりやすいかがわかる。データに応じて、ほぼ毎週出稿先や内容を替えているという。

もともと競合が少なく、リピート率も高い。そこへ商品投入を増やし、自社運用で効率のいい広告も増やしたので、集客に弾みがつき、売り上げは急増。広告宣伝費が増加しても、利益の伸びが続く好循環に入った。

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