日本の自動車産業、生き残り策は見つかるか 経産相主催の会議発足、新技術にどう対応?

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だが、悠長なことはいっていられない。欧州の自動車業界では、メーカーのほか、国、大学も合わせて、産官学提携で横串の通った車づくりが進められてきた。たとえば自動運転車の開発を各社共同で進める「ペガサス」と呼ばれるプロジェクトがある。それぞれのデータをメタ化する役割を持つ、オーストリア・AVL社などの強力なエンジニアリング会社の役割も大きいため、開発スピードは日本のメーカーと比べても速い。

今年3000万台の新車販売が確実視されている世界最大市場の中国。日本や欧米に比べ遅れていた新技術開発でも急速な追い上げを見せる。「外国の大学で博士号を取った優秀な人材が中国の現地メーカーに大勢入っている。彼らは他業種とも積極的にビジネスをするオープンイノベーション志向で、従来とは異なるサービスを展開していく」(冨山委員)という流れが生まれている。中国のネット検索大手百度(バイドゥ)は、自動運転の開発連合「アポロ計画」を立ち上げ、2020年末に完全自動運転を目指す。

技術のグローバルスタンダードを取れるか

過去に日本は、電気自動車(EV)用の急速充電システムの規格「CHAdeMO(チャデモ)」を世界に普及させようとした。しかし、欧州で車とシステム間の通信規格が異なる「Combo(コンボ)」が登場し、両者がせめぎあっている状態だ。

CHAdeMOは急速充電器の高出力化に乗り出している。実現すれば、EVの充電時間が従来の3分の1になる(編集部撮影)

欧州のように各社が横串を通す文化のない日本の自動車業界から、世界標準の規格を作ることは簡単ではない。しかし、「ISO(国際標準化機構)規格」などの正規規格ではなく、共通のスタンダードとして広めることができれば、日本が入り込む余地はある」と、経産省の担当者は話す。

旧来の自動車産業のように、新時代でも日本がリードすることはできるのか。官民が一体となり、日本も本気で「攻め」の姿勢を貫かなければ、今度こそ諸外国に覇権を奪われてしまうだろう。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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