受診した際、初回の診察ですぐ「一応検査はするけど、もう発達障害は確定だね」と医師に言われたほど顕著な特性が表れていた大塚さん。うつの症状が強いため、医師からは就労継続支援すら受けてはいけないと言われた。しかし、毎月の生活保護と2カ月に1度振り込まれる障害年金を合わせても月15万円ほどで過ごさねばならず、そこから6万5000円の家賃が引かれるのでカツカツの生活だ。
生活保護受給者は家賃の上限があったり、定期的にケースワーカーが訪れ、高価なものを買っていないかチェックがあったりすると、以前、生活保護受給経験者を取材した際に聞いた。大塚さんの家賃額は生活保護受給者にしては高いのではないかと思ったのと、そもそも3人で共同生活をしていることにケースワーカーは何も追求しないのだろうか。
「家賃が少し高めなのは、子どもの頃にネグレクトを受けて監禁状態だったトラウマから、狭くて窓のない部屋が精神的に耐えられないからです。この部屋じゃないと住めないとケースワーカーさんに言ったら少しケンカのようになってしまったのですが、何とか許可が下りました。でも、木造で築年数は古いし、お風呂はバランス釜です。
共同生活について、実はレズビアンの友達も発達障害で生活保護を受給中なのですが、住所は別の場所にあります。友達もパートナーも、同居というより介護をしてもらいにきている状態で、いつも私の家にいるというわけではないので、法的には大丈夫です。本当は、いっそのこと生活保護を受けている友達同士で一緒に暮らしたいのですが、『同性同士が同居するというのはシステム上考えられていないのでできない』と言われてしまいました」(大塚さん)
親にも発達障害らしき特性があった
今、1人で生活することが困難なため、共同生活を送っている大塚さん。大塚さんが言う「介護」というのは、家事など日常生活におけるすべてのことを指す。3人のうちできる人がやっているという。
大塚さんは幼い頃からADHDの衝動性とASDのこだわりといった特性があった。
「小さい頃はとにかく目に映るものすべてに興味がありました。誰かの誕生日でケーキにロウソクの火が灯っていて、もう8歳だったので火が危ないことはわかっているはずなのに、火をティッシュに移してしまって慌てて周りの大人が消したことがありました。今思うとこれは、衝動性ですよね。
また、幼稚園の頃は1日のルーチンワークが決まっていて、ブロック遊びをした後にパズル、その後に折り紙をするという3つの行程を必ず行っていました。毎日同じことをこなすのが心地よかったんです」(大塚さん)
そして、大塚さんの母親がADHD、父親にASDっぽい特性があったのではないかとも語った。とにかく母親は物忘れが激しく、絶対に忘れてはいけないことを忘れる。教育熱心な親だったので小3から塾に通い中学受験をする予定で頑張っていたのに、なんと母親が入試の出願書類を出し忘れてしまったのだ。このとき、父親が母親にものすごい剣幕で怒ったのを覚えているという。せっかくの努力が水の泡になったのかと思いきや、父親は母親の特性をわかっており、出願書類の締め切りより前倒しの日程を伝えていたため、無事受験でき、さらに合格した。
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