「イライラと不安」を増幅させる食生活の正体 5月病を引き起こす、「鉄欠乏」と「糖質過多」

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また、抗炎症作用のあるEPAが豊富な青魚や、腸内環境を整える納豆などの発酵食品も意識的にとるとよい。

糖質過多にならないよう、注意したいのは間食だ。手軽に食べられる食品のほとんどは糖質。間食には、ゆで卵やくるみ、アーモンド、小魚などがいい。ココナツバターを冷やして固めて食べるのもおすすめ。

漢方薬でゆるやかに心の元気を回復させる

栄養状態の改善とともに、漢方薬の使用も効果的だ。春は、東洋医学的には五臓でいう『肝』の季節とされる。肝を良くする=イライラ解消には、柴胡(さいこ)という生薬を含む漢方薬がおすすめだ。

ストレスをうまく言葉にできず周囲に打ち解けないタイプには、抑肝散(よくかんさん)。加えて、胃腸が弱ければ抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)、緊張して手足が冷えるなら四逆散(しぎゃくさん)。

おしゃべりが好きで周囲に打ち解けやすいタイプには、加味逍遙散(かみしょうようさん)。

『マンガでわかる ココロの不調回復 食べてうつぬけ』(主婦の友社)。書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします

神経質で何でもないような細かいことに悩み、驚きやすく、ドキドキしやすいタイプには、柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)。柴胡剤は、脇腹からみぞおちあたりにかけての緊張や苦しい感じがみられる人に効果があり、これらの漢方は心の不調によく使われる漢方薬だというから、覚えておきたい。

漢方にも、食事を改善することで体調を整える「食養生」という考え方がある。漢方的には春は「酸味」をつかうとよいだろう。酸味は肝の働きを助ける。また、酸味のある食品は、鉄の吸収を促進するので酢の物やレモンを使った食品などを積極的に食べるのがおすすめだ。

新生活のスタートには、夢や期待があふれている。それをストレスでつぶしてしまわないためにも、「何を食べようか」という小さな選択の積み重ねが重要なのだ。いま手にとったその食品が、自分の新生活を支えてくれる味方なのか、あるいは敵なのか、ぜひとも考えて選びたいものだ。

奥平 智之 日本栄養精神医学研究会 会長、医療法人山口病院 副院長

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おくだいら ともゆき / Tomoyuki Okudaira

精神科専門医、漢方専門医、認知症専門医。「メンタルヘルスは食事から」をモットーに、食事や栄養療法、漢方治療を重視した精神科治療を実践している。「隠れた栄養の問題」で健康を損なっている人が多いため、栄養の問題が原因のメンタル不調を「栄養型うつ」と命名し注意喚起をしている。中でも、貧血がないために見逃されている隠れ鉄欠乏の女性が多いことから、鉄欠乏の女性を「鉄欠乏女子(テケジョ)」と命名し啓発活動を行っている。日本大学、東京女子医科大学、埼玉医科大学の東洋医学科(漢方)外来、新宿溝口クリニック栄養療法外来も担当。全国での講演や学会、著書などを通じ、「栄養精神医学」の大切さを啓蒙している。

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