「ラブライブ!」に学ぶ新アイドル文化の行方 アニメとアイドル文化の相互作用は興味深い

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それに対して、『ラブライブ!』は、音ノ木坂学院という高校のスクールアイドルとして活動する。言い換えると、研究生でも芸能事務所に属するアイドル(候補生含む)でもなく、学校の「部活動」の一環である点が大きな相違点である。そういう意味で、一世を風靡した『けいおん!』を代表とする空気系(複数の美少女キャラクターの日常生活を延々と描いた作品)に共通してみられる「部活もの」の要素を含んでいるととらえることもできる。

キャラクターを演じた声優により「μ 's from ラブライブ!」として音楽活動が行われ人気を博した。こちらは 2010年代に注目されている2.5次元文化という切り口がある。つまり三次元の声優が二次元のキャラクターにシンクロ(同期)したからこそ、さいたまスーパーアリーナや東京ドームで開かれた『ラブライブ!』のライブは多くの観客を集め、ビジネスとしても成功したと思われる。

これは 2003年の『テニスの王子様』以降、2010年代に入って『弱虫ペダル』『黒子のバスケ』『刀剣乱舞』などアニメやゲームを原作としたミュージカル(2.5 次元ミュージカル)が上演され人気をえていることとパラレルな現象である。通常のアニメは、声優がキャラクターの絵(図像)に対して主にアフレコで声をあてる。それはアニメ版『ラブライブ!』でも変わらない。

ところが声優によるライブの場合、身体(姿形)を有する声優が、アニメのキャラクターの身体運動をトレースして、その運動(例:ダンスのフォーメーションや仕草)にしたがってキャラクターを演じつつ、現実ともフィクションともつかぬ「2.5次元」のライブ活動を行う。そしてそれに「共感」した観客は、キャラクター毎に色分けされたケミカルライトを振り、声優/キャラクターたちを応援する形で「μ 's from ラブライブ!」は大きく盛り上がった。

『ラブライブ!』と双璧をなすのは『アイマス』

ところで『ラブライブ!』以外にも、グループアイドルの人気を反映したアニメが、 2010年代に数多く登場した。これを『反逆編』では「グループアイドルもの」というジャンルでくくっておいたが、それは現実のグループアイドルのアーキテクチャ(設計思想)、たとえばキャラの設定、消費者の育成、マーケティング戦略などは、『ラブライブ!』と同じように、AKB48の選抜総選挙などの影響がありそうだからだ。

たとえば『ラブライブ!』と双璧で人気の高い『THE IDOLM@STER』(以下『アイマス』)は、もともと『アイカツ!』や『プリティーリズム』と同じく、アーケードゲームで、アイドル候補生から何人かを選び、どのように多くのファンの支持を集めるアイドルにプロデュースすることが可能かを競い合うシミュレーションゲームだった。

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