JR三江線に続く「廃線危機」の路線はどこだ?

10年前のデータが予言していた過酷な現実

8位は北海道の日高線(苫小牧―様似間)の355人。2015年に起きた高波による土砂流出の影響で、鵡川―様似間が運休中だ。利用者数が低迷している割に復旧費は86億円と試算されており、経営の厳しいJR北海道にはとても払える金額ではない。運行中の苫小牧―鵡川間の2016年度の平均通過人員は463人と利用者が少なく、「鉄道を維持する仕組みについて地域の皆様と相談を開始したい」(JR北海道)という状況だ。

9位は福島県を走る只見線(会津若松―小出間)の400人。2011年の豪雨の影響で会津坂下―小出間が運休し、復旧工事が完了した区間から順次運行を再開しているが、会津川口―只見間は現在も運休したままだ。2017年にようやくJR東日本と自治体の間で完全復旧に関する合意が結ばれた。会津川口―只見間は線路などのインフラを自治体が保有し、JRが運行のみを担う。復旧費用は自治体が3分の2を負担、全線復旧は2021年ごろと見込まれている。

10位は岩手県を走る山田線(盛岡―釜石間)の404人。2011年の東日本大震災の影響で宮古―釜石間が運休中。現在JR東日本が復旧作業を進めており、2019年春の完了後は三陸鉄道に譲渡される。

東日本大震災による被害から復旧断念

こうして見ると2008年度に利用状況の悪い上位10路線のうち、1位の岩泉線と2位の三江線は全線が廃止。4位の留萌線は一部廃止。8~10位の日高線、只見線、山田線は災害を契機に長期間の運休区間が生じている。全線が運行しているのは、大糸線、木次線、予土線そして廃線の危機を脱した名松線の4線だけだ。

JR北海道はすでに、利用状況の悪い路線について、地元と存廃に関する議論を開始しつつある。JR東日本やJR西日本は新幹線や都市圏の在来線の収入で低迷路線の負担をカバーしているが、ひとたび災害で運休に追い込まれると、それを契機に存廃論議につながる可能性もある。22位の大船渡線・気仙沼―盛間と27位の気仙沼線・柳津―気仙沼間も、東日本大震災による被害からの鉄路復旧が断念され、BRT(バス高速輸送システム)化された。

路線全体の平均では相応の利用者がいるものの、特定の区間では利用者が著しく少ないという路線も多い。前述の大糸線が好例だ。松本―南小谷間と南小谷―糸魚川間では平均通過人員で前者が後者の約32倍という大きな格差がある。

近年はJR各社が路線別だけでなく、区間別の利用状況も開示するようになった。利用者が少ない区間をどう運営するか、地元と議論をしたいという意識の表れだろう。そこで、2016年度の平均通過人員が極端に少ない区間についても調べてみた。

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