ジーユー、じわり復活でも満足できない理由 「売上高1兆円」を目指すが、ハードルは高い

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その後、2015年には裾の広がる「ガウチョパンツ」、2016年はスカートに見えるパンツ「スカンツ」が大ヒットを記録し、2期連続で大幅な増益を達成。だが、昨年度は大ヒット商品を生み出すことができずに大量の在庫処分に追われ、営業利益は135億円(前期比39%減)と大幅減益に陥った。

値引きでの集客が目立った昨年度の反省を生かし、今年度は特定の大ヒット商品に頼りがちだった体制を転換。2017年秋冬シーズンからは商品数を従来の2倍に拡充し、期中生産も増やすなどして、トレンドに合わせた商品をこまめに投入する戦略に改めた。

コラボ商品を続々投入

特に最近、ジーユーの店頭で目に付くのがマネキンの多さだ。店内各所では、シックやレトロ、ジーンズカジュアルなど、テーマごとにコーディネートされたマネキンを取り囲むように、商品が並んでいる。高機能でベーシックを軸とするユニクロと異なり、トレンドに沿ったスタイリングを提案するブランドであることを、これまで以上に打ち出している。

今年度はエヴァンゲリオンや元ルイ・ヴィトンのデザイナーなどとのコラボ商品も続々と投入。1000~2000円台の手頃な商品が中心で、売れ行きは好調だった。ある若年女性向けアパレルの幹部は「有名なアニメやデザイナーとのコラボをあの価格帯で展開できるのはファストリならでは。以前に増して顧客開拓への気合いを感じる」と危機感を隠さない。

ジーユーの柚木治社長は1年半前の決算会見で「売上高1兆円企業になる。ジーユーは普通の会社では終わらない」と語っていた(写真は2016年10月の決算会見、撮影:今井康一)

会社側はジーユー事業の詳細な業績予想は開示していないが、増収増益を見込んでいるという。ただ、過去最高だった2016年2月期の営業利益222億円は下回る計画とみられ、ファストリにとってジーユーの業績が満足するレベルに回復しているとはいえない。

さかのぼること1年半前、ジーユーの柚木治社長は2016年8月期の決算会見の場で「今後10年で売上高1兆円を目指す」と高らかに宣言していた。だが、現状の売上高の伸び率では、目標への到達には遠く及ばない。

今年度からファストリは決算短信で、ジーユー事業のセグメント開示を始めた。これまでグローバルブランド事業の中の1ブランドとして記載していたが、事業規模の拡大で影響度が増したという事情に加え、1兆円の目標達成に向けて発破をかけた、ととらえることもできる。ユニクロに次ぐ経営柱となることはできるか。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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