LINE出澤社長「次の成長エンジンはこれだ」 スマホ決済100万店構想の先に目指すこと

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――フォリオはまだベータ版サービスしか提供していない段階ですが、出資に踏み切った理由は何でしょうか?

経営陣の考え方がわれわれととても似ていると感じた。LINEアプリは毎日のコミュニケーションのあり方を変革してきた。フォリオも証券、株式投資の領域で今あるプロセスを踏襲するのではなく、利用者からどんなものが求められているかを徹底的に見つめて、新しいサービスを作っている。

アプリ上の細かな使い勝手やデザインの面についても、経営陣がしっかり意思を持ってコミットしている。プロダクトや、それを生み出す人、組織のカルチャーを知る中で、一緒にサービスを作ったら面白いはずだと考えるようになり、出資に至った。

「2018年はさらに大きな変化の年になる」

――2018年は注力分野であるAI、フィンテックの事業開発に300億円を投じると宣言しています。昨年から続くAIに、フィンテックが加わりました。

フィンテックやブロックチェーンの登場は、インターネットやスマートフォンの登場にも匹敵するインパクトがある。スマホ決済サービスの「LINEペイ」は、開始からすでに3年半以上になる。2017年はクローバの展開が始まるタイミングであり、AIにフォーカスして話をすることが多かったが、フィンテックもLINEにとって、従前から重要な位置づけにあった。

LINEはQRコードの決済に乗り出している(撮影:今井康一)

2018年は、さらに大きな変化の年になりそうだ。日本はキャッシュレス化が遅いといわれてきたが、訪日外国人観光客(インバウンド)の需要に対応するため、ドラッグストアなどでQRコード決済を導入する店が増えてきた。

システム側でも参入企業が増え、割引やポイント付与のメリットを打ち出すことで、国内のユーザーの関心も高まっている。やっと場が温まってきた感がある。

LINEとしては、これまで支払いのできる店舗や連携金融機関を増やし、ユーザー数を増やし、着々と準備を進めてきた。公共料金の「請求書払い」など、LINEペイ自体の機能もどんどん拡張している。こういったアドバンテージを生かせるときが来たと考えている。

――スマホ決済が爆発的に広がった中国では、配車アプリ「滴滴(ディディ)」のような、スマホ決済を基本とする新興サービスが人気を博したことが普及のきっかけとなりました。日本でも、決済インフラだけ整えても、普及させるのは難しいのでは?

確かに、すべてが中国と同じように進むと楽観視してはいけない。日本の利用者にマッチした、キラーコンテンツを出すことも必要だ。ただやはり、実際に使ってみると、財布を持たなくても簡単に支払いや割り勘ができるのは便利だし、進化した形であるのは間違いない。われわれにできるのは、まず使える場所を増やしてユーザーの利便性を上げること。2018年はLINEペイを国内100万店に導入することが最大のミッションだ。

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