LINE出澤社長「次の成長エンジンはこれだ」 スマホ決済100万店構想の先に目指すこと

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もう1つ、送金の機能はLINEならではの利点だ。ユーザーにインタビューをしてみると、特に若者の間でこの送金機能を使っている人が増えており、ニーズが高いとわかってきた。われわれはLINEアプリの中にウォレット機能を作ったので、別アプリを取得する手間がない。友人や家族など本当に親しい人とつながるアプリだからこそ、送金も自然な流れで、便利に使ってもらえるはずだ。

――100万店への導入というのは、高いハードルという印象を受けます。

日本人が日常的な買い物で利用している"決済の場所”は、大体全国で300万カ所くらいであると推計している。その3分の1くらいはカバーしたいという目標だ。これは単純に(有人の)店舗だけでなく、自動販売機のようなものも含めて考えている。100万カ所あれば、「結構使えるな」という印象になるはずだ。

今、いろいろな大手小売りチェーンとの提携を進めているほか、小売店を束ねているような事業者、たとえばPOS(販売時点情報管理)システムを開発している会社、決済代行会社などとも提携して加盟店を増やしていく。あとは「LINE@」を利用している約30万店のパートナーにも、簡単に導入できる点を訴求するなど、あらゆる手を打っている。

成長のカギは「リアルな場にある」

――中国では「芝麻(ジーマ)信用」など、決済や行動の履歴を与信に応用するサービスも出ています。

3月にウォレットのタブを新設したことにより、LINEペイへの加入が増え、アクティブ化も進んでいる。今後はここを入り口に、決済だけでなく、ローンや投資、仮想通貨など、ほかの金融サービスをシームレスに提供していきたい。1月に設立した「LINEフィナンシャル」で開発を主導し、年内に、具体的にいくつか新サービスを出せればと計画している。

LINEの中ではユーザーが日々、コミュニケーション、購買、動画・音楽の視聴など、いろいろな活動をしている。こういったデータを何らかの形でスコア化して、通常の金融サービスと違った付加価値を提供できるのではないかと考えている。データは当社の最大の強み。これを有効活用しなければ、われわれが金融をやる意味がない。

――フィンテック分野のサービスを拡大することは、中長期的な成長にどう寄与するのでしょうか。

LINEがコミュニケーションツールとして定着する中で、当初はゲーム、漫画、音楽といったコンテンツ領域から付加サービスを増やしていったが、だんだん日常生活の「リアルの場」にも進出していった。決済や金融も日々の生活に欠かせない機能であり、ここに踏み込むのはLINEの発展において自然な流れといえる。

今、重要な経営指標として、月間利用者数に占める1日当たり利用者数の割合(2017年12月末で84%)を見ている。引き続きユーザー数そのものを増やすことにも価値はあるが、今後はLINE上のサービスにおける"可処分時間”や流通総額を増やすことが重要になる。これを高めるエンジンの1つが金融サービスだ。

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