トヨタ「ノア」3兄弟が日産・ホンダを圧す理由

セレナとステップワゴンの追撃も寄せつけず

もともとノア3兄弟の前を走っていたのは、ホンダのステップワゴンだった。1996年に登場した初代ステップワゴンがこの市場をつくったともいえるからだ。

「キャブオーバー」と呼ばれるタイプが主流だった

それまでの日本のワンボックス(1BOX)車は、エンジンを座席の下に置いて後輪駆動とする「キャブオーバー」と呼ばれるタイプが主流だった。対して初代ステップワゴンは車体前部(フロント)にエンジンを配置して、前輪を駆動する「FF(フロントエンジン・フロントドライブ)」方式を採用することで、床を低くしつつ四隅まで切り立ったボディデザインを実現した。

5ナンバーサイズで運転のしやすさを確保しながらも、床が低く四角を基調としたデザインによって、最大おとな8人が比較的ゆったり乗れること。さらには扱いやすく車両価格、税金、保険料が高くなりすぎない大きさのエンジンを搭載して、高速道路の走行にも余裕を持たせたこと。多人数乗車に重きを置く日本人ユーザーのニーズにガッチリはまったことが、初代ステップワゴンが大人気を博した大きなポイントだったといえる。

トヨタも日産もそんな初代ステップワゴンの成功をなぞって追いかけてきた歴史がある。日産はキャブオーバーだった「バネットセレナ」の後継車種として、ステップワゴンと同じFF方式にした「セレナ」を1999年に発売。トヨタも同じくキャブオーバーだった「タウンエースノア」「ライトエースノア」をFF方式に転換した「ノア」「ヴォクシー」を2001年にそれぞれ投入した。

このあたりから、エアロ系をイチ押ししたこともあり、ヴォクシーのほうが人気で先行するようになっている。さらに現行モデルでは2014年にエスクァイアが加わって3兄弟となった。ノア3兄弟でヴォクシーが最も売れているのは、トヨタブランド以外の他銘柄(他メーカー)車からの乗り換えが目立っているからだという。

昔は「カローラvsサニー」のような、メーカー同士でサイズやコンセプトが完全に被るような、「宿敵」とも呼べる車種をお互いに設定して販売を競わせたものだが、いまどきはそのような関係が成立するほうが珍しい。ミドルサイズ背高ミニバンと軽自動車ぐらいとなっている。

ノア3兄弟が、このクラスをリードする背景には2014年の現行モデル登場時から、ハイブリッド車を先行してラインナップしてきたことが大きい。

ステップワゴン(写真:ホンダ)

ホンダがステップワゴンに待望のハイブリッド車を追加したのは、ようやく昨年秋。日産セレナには「S-ハイブリッド」という仕様があったが、これはマイルドハイブリッドシステムと呼ばれ、発進時やアイドリングストップでの再始動時に、モーターをエンジンのアシストのみに使い、モーターの出力が小さい分、燃費改善効果も限定的だった。

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