ダルビッシュはかっこよく"ヨコ展開"できる アシックス尾山社長が語る「世界3位」への戦略
今回のダルビッシュ選手との契約によって、マーケットに向けて競合他社との差異を打ち出したい。ピッチャーというポジションは非常に露出が多いのも魅力だ。
さらに、野球選手というだけでなく、彼の持つ「かっこよさ」をうまく使えないかと考えている。従来は野球選手だから野球用品をアピールするということになりがちだったが、ダルビッシュ投手は“ヨコ展開”できそうなところが面白い。
――ダルビッシュ選手が野球ウエア以外の宣伝に登場する可能性もある?
野球とスポーツカジュアルに加えて、米国市場ではトレーニングやランニング向けにもどうか、とイメージしている。商品構成については、グローバルのマーケティングを統括するジョン・モレンジャー(上席執行役員)のチームと話さなくてはいけないが、僕の頭の中の商品MD(マーチャンダイズ)としては、そこまで展開できないかと思っている。
問われているのは企画力
「血と汗と涙」のイメージが強かったスポーツ選手も、近年はその生活習慣が変わってきた。ダルビッシュ選手が愛用している「ボッテガ・ヴェネタ」(イタリアの高級ブランド)のバッグが週刊誌で紹介されるくらいおしゃれだし、選手はファッションにも詳しくなっている。
ダルビッシュ選手に、単にアシックスブランドの(野球用以外の)ウエアを着ろと言っても、「NO」というだろう。ただ、それが彼のスタイルにはまったものだったら、喜んで着てもらえる。そこは、アシックスのウエアについての企画力が問われる。
――7年後の東京五輪に向けて、どのように取り組んでいくのか。
オリンピックのスポンサー料は、サッカーのトップリーグと同じように非常に高騰してきている。リオデジャネイロ(2016年大会)ではナイキ(米国)がスポンサーとなり、100億円以上支払う。ロンドン(12年大会)はアディダス(ドイツ)がスポンサーだったが、たぶん70億円以上。北京もアディダスでスポンサー料は50億円以上だった。
これだけスポンサー料が上がると、オリンピック全体のスポンサーになることはアシックスの企業規模では難しい。ただ、デレゲーション(大会派遣選手団向け公式ウエア)については、オランダやイタリアのオリンピック委員会向けに提供しているし、日本オリンピック委員会向けには伝統的に3社(アシックス、ミズノ、デサント)で提供してきた。オリンピックとは別に、陸上競技やバレーボール、水泳など各競技団体の開催している世界大会でも、ウエアなどを提供している。
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