JDI、有機ELパネル「子会社化断念」の舞台裏

革新機構が翻弄、結局「アップル依存」は不変

2018年3月期も、工場の稼働率低迷で限界利益率が下がったことに加え、人員削減に伴う早期割増退職金の計上、さらに工場の減損などがのしかかり、通期では2000億円超の最終赤字に沈みそうだ。企業が自由に使える資金であるフリーキャッシュフローも、5期連続でマイナスが続く見込みだ。

現在JDIは、2017年にINCJの債務保証によって取りつけた1070億円の融資枠を運転資金に活用しているが、「すでに資金は底をつきかけている」(JDI関係者)。そこで、アップルや中国華為(ファーウェイ)といったスマホメーカー、京東方科技集団(BOE)や天馬微電子といった液晶パネルメーカーなど、複数の海外企業との資本提携を模索。だが当初の目標である2018年3月末を過ぎても中国企業を中心に話がまとまらず、先行きは不透明だ。

そうした状況で、JOLEDの経営を引き受けるのは現実的ではない。2017年の12月から少量出荷を始めたばかりで研究開発費が重く、今年も通期で140億円近い純損失を計上する見込みだからだ。

革新機構の狙いは外れた

そもそも子会社化の計画があったのは、両社の筆頭株主であるINCJが、2015年の創業以来3年近く売り上げが立っていなかったJOLEDの”引受先”として、JDIを選んだからだ。4月6日、定例の記者会見に登壇したINCJの志賀俊之会長は、「JOLEDが設立された当初からJDIの傘下入りは既定路線だった。機構はJDIに多額の資金援助をしており、その分JDIからJOLEDへ研究開発費などを提供してほしいという考えだった」と語った。国内企業の傘下であれば、世界唯一の技術が海外に流出することも防げるとも考えた。

一方で、JDIがJOLEDを子会社化するメリットがないことは当初からわかっていたという声も社内外から聞こえてくる。JDIとJOLEDが持つ有機ELの製造技術は大きく異なり、製造装置にも違いがある。作るパネルのサイズも異なるため、流通経路も共通ではない。グループ会社同士である現在は、液晶部材の開発や生産委託などで一定の協業関係にあり、今後も継続するという。

JDIはJOLEDの持分法損失を年間で140億円程度計上する見込みだ。JDIはJOLEDの普通株のほかに種類株(優先株など)も持っているため、同社の純損失が全額JDIの持分法損失としてふりかかる。「子会社化することによるメリットよりも、子会社化しないことで持分法投資損失が減少するメリットのほうが当座は大きい」(JDI関係者)。

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