「アイドルの作られ方」が激変した根本理由 平成アイドル史、この30年で何があったのか

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こうしたアイドルの拡散現象は、当然芸能の分野にとどまらない。

平成においては、テレビなどメディアに登場する存在すべてが「アイドル」と呼ばれる可能性を持つようになった。その結果、純然たるアイドルではないが“アイドル的”ではある存在がいたるところに誕生する。その意味でも、アイドルの輪郭はますますぼんやりとしたものになった。

女子アナはその好例である。「フジテレビ3人娘」や日本テレビの「DORA」など女子アナのアイドル化の流れが、昭和の終わりから平成初期にかけて本格化した。

背景に「テレビのバラエティ化」

その背景にはフジテレビを筆頭に進んだテレビのバラエティ化がある。80年代初頭の漫才ブームをきっかけにした「楽しくなければテレビじゃない」(フジテレビ)という空気は、「真面目」であるはずの局アナをも容赦なく巻き込んだ。その結果、原稿の読み間違いや「嚙む」といったアナウンサーにとって禁物であったミスが、例えば「可愛さ」を表現するものへと反転する。

そうして始まった女子アナのアイドル化は現在も変わっていない。むしろ女子アナとアイドルの境目はあってないようなものになりつつある。元モーニング娘。の紺野あさ美など、アイドル経験者のアナウンサーへの転身が増えていることがその証拠である。

スポーツ選手のアイドル化現象も同様だ。72年の札幌冬季オリンピック出場のフィギュアスケート選手、ジャネット・リンのように、70年代にはすでにそうした現象はあった。ただ平成になると、スポーツ中継だけでなく、スポーツバラエティの増加が選手への親近感を格段に高め、アイドル化の流れに拍車がかかった。

福原愛や浅田真央は、そうした番組に幼い頃からたびたび登場し、アイドル的な扱いを受けるようになった代表格である。またバレーボール中継にジャニーズがサポーターとして登場するようになったことも、スポーツ選手とアイドルの接近を物語る。

女子アナやスポーツ選手に共通するのは、それぞれ明確な技量の基準が存在することである。その基準からなんらかの点で逸脱する部分があり、それが魅力的なものに世間に映ったとき、その人物はアイドル的扱いを受ける。

この場合、何が魅力になるかはあらかじめ決まっているわけではない。容姿、年齢、言動などさまざまだ。逆に言えば、人は何かのきっかけで突然アイドルになる。アイドルは、誰もが身にまとえるカジュアルなものになったのである。例えば、昨年「ひふみん」の愛称で人気者になった棋士の加藤一二三にも、そんなカジュアル化の一端が感じられる。

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