日本のEVシフトに立ち塞がる集合住宅の重荷 共同駐車場に充電設備は簡単に入れられない
中でもEV向けのインフラ整備に率先して手を打ってきた自治体がある。国内でEVの量産を最も早くから進めてきた日産自動車の追浜工場がある横須賀市だ。
横須賀市は、市内の既築・新築マンションにEV充電器を備えるための補助金制度を2015年から始めている。日産のEV・初代「リーフ」が2010年12月に発売される前後から、EVタクシーの導入やEV用充電器の設置などを進めてきた。EV普及を促進することで、リーフなどを生産する追浜工場の稼働率を上げ、市内活性化につなげたいという狙いがある。
審査が通れば、補助金が交付される
2015年からは、「横須賀EV創生project(プロジェクト)」と銘打ち、マンションがEV充電器3基以上の設置をする場合、申請をして審査が通れば、最大150万円分の補助金が交付されるという制度を開始した。
国の補助金と合わせると、さらに自己負担額は下がる。たとえばマンションに普通充電器1基、コンセントを2基設置する場合、本体代と工事費で170万円程度かかる。これに対して国の補助金135万円、市の補助金28万円が交付され、自己負担は7万円程度まで抑えられるのだ。マンション以外にも、一般の店舗や駐車場、EV通勤者のいる事業所なども補助金の対象となっている。
横須賀市経済部企業誘致・工業振興課の小林俊一課長補佐によると「EVへの関心の高まりに加え、マンションの資産価値を高められる、と導入に前向きなマンション住民が増えてきた」という。とはいえ、マンションなど集合住宅に設置された例は、市内でまだ3件のみ。2018年度に補助金の申請をすることが決まっている案件は4件だ。
マンションにEV充電設備を設置するには、いくつものハードルがある。1つ目が電力供給能力の問題、もう1つが住民の合意形成の問題だ。
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