ロイターが「ロボット記者」を使う真の狙い 業績記事に活用している「リンクス」とは?

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AP通信も、自動化によって記者が企業収益の報道に費やしていた時間を20%削減したと述べている。ロイターが200人近いパブリッシャー幹部を含むデジタル分野のリーダーを対象に行っている年次調査によれば、回答者の91%が2018年のもっとも重要かつ緊急の課題として、生産効率の向上を挙げた。一方、ワシントン・ポストにように、自前の人工知能(AI)テクノロジーを活用することによって、新しいオーディエンスを発見できたというニュースパブリッシャーもある。

だが、編集作業の自動化の影響を測定することは困難だ。そのため、ロイターは将来、フィードバックループを構築することで、記者がどのような知見を活用したのかを把握し、ツールの価値を高められるようにする計画だという。

「当社では、記事の量を成功の指標にはしていない」と、チュア氏はいう。「見逃した可能性がある情報をすぐに教えてくれる機能は、すでに役立っている。我々はスピード競争のさなかにあり、企業の決算結果や経済指標を確実にモニターできるようにしているのだ」。

リンクス・インサイトを使って、ほかのニュースパブリッシャーに販売できるような製品を開発すれば、金銭的メリットももたらされる。たとえば、英国のマンチェスターでサッカーニュースを毎週配信している平均的なニュースパブリッシャーが、マンチェスター・ユナイテッドに関する記事を常に他社より早く報じられるようになるとチュア氏はいう。

「ロイターは、報道が早いことで知られている」と、AIプラットフォームを手がけるストーリーストリームで最高科学責任者を務めるジャネット・バスティマン博士はいう。「一番に報じることを目指した競争が起こっているなかでは、記事をより早く見つけることがますます重要になるだろう。おカネを払ってくれるクライアントのためにその機能をカスタマイズできるようにすることが、今後は間違いなく重要になる」。

「マシンはトレーニングした分だけ賢くなる。フィードバックループを導入すれば、機能が向上するだろう」と彼女は付け加えた。「ただし、慎重なテストを何度も行って、バイアスを確実になくす必要がある」。

さらに先を目指すロイター

ロイターには、「ロイター・ニュース・トラッカー」というツールもある。これを使えば、Twitter上でコンテンツを探し、そのコンテンツが真実である可能性を数値で把握できるため、速報ニュースを他社より早く報じられるようになる。このツールのおかげで、すでに50を超える重要なニュースをほかの企業に先んじて報じることに成功しており、記者たちは記事を8分~60分速く完成できるようになったとロイターは述べている。

リンクス・インサイトの利用を多忙な記者に促すには、できるだけ簡単に使えるようにする必要がある。「電話で使い方を説明しなければならないようにはしたくない」とチュア氏はいう。「長期的にツールとの対立が起こらないようにするには、記者がマイクロソフトの企業記事を書いているといったことを、ツールが認識できるようにする必要がある」とチュア氏は語った。

Lucinda Southern(原文 / 訳:ガリレオ)

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