複雑怪奇「バス路線」検索全国対応への道のり 35万件の停留所位置は現地調査も実施

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――今後課題になってくるのは集めた膨大なデータのメンテナンスだと思うのですが、どう考えられていますか。

村川:データ入力とともにこれもかなり大変です。それでも自動化と効率化を突き詰めて人の手をかけないようにしています。ただ、体制づくりはこれからです。まだ見えていない部分も多いので、ひとまずバスの時刻改正が多いこの春に対応をしてみて、感触をつかむところからになります。体制を整えるのはその後になります。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

今回話を聞いた方々。写真右からナビタイムジャパン社開発部村川貴則部長、バスデータエンジニアの仲摩さん、バスデータエンジニアの前原さん(筆者撮影)

村川:小規模事業者やコミュニティバスをどんどん入れていきたいですね。突き詰めていくとまだすき間がありますから(筆者注:国土交通省「全国乗合バス事業者の移動円滑化基準適合車両導入状況」に掲載されている事業者は全949事業者でまだ434事業者が残る)、どこからどこに行くにも安心して移動できるようにすべての交通手段を網羅していきたいです。

バスのデータは複雑怪奇

今回話を聞いて思ったのは、ナビタイムジャパン社の「データ」に対する意識の高さと「IT技術者」パワーの強さだ。

データ提供や検索エンジンの進化だけではなく、人の動きというビッグデータをつかむところまで見通し、地域交通のコンサルティングまで行うのは大きな強みだ。ナビタイムジャパン社のアプリ利用者はひと月で延べ4100万人、訪日外国人もひと月で延べ11万人に上るという。これだけの人が利用しているアプリの検索ログは大きな資産だ。BtoCと異なり、BtoBの取引までできれば莫大な売り上げを見込むことができる。

こうしたデータの流れとビジネスの観点から見ると、ナビタイムジャパン社のバスデータの整備はあくまでも、さまざまなサービスやビジネスの基となる「基盤データ」でしかないわけである。

一方で、基盤データの整備だけでもかなりの手間となっているのが実情だ。ナビタイムジャパン社のように多くのIT技術者を抱え、大量のツール群で対応しようとしてもまだ手直しが残ってしまう。それだけバスのデータは複雑怪奇ということだが、そんな形のデータのままでは、今回のナビタイムジャパン社のような企業がないかぎり、バス事業者の中で埋もれてしまいそうだ。バス業界で一致団結して効率化・省力化できるところはまだまだ多い。

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