複雑怪奇「バス路線」検索全国対応への道のり 35万件の停留所位置は現地調査も実施

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――今回対象になったバス事業者であれば、その事業者の路線はすべてカバーしているのですか。

仲摩:路線バスは基本的にすべてカバーしています。臨時バス、実証運行バス、東日本大震災の復興支援で運行されているバスや、スクールバスのようにバス事業者から掲載しないでほしいと言われた路線は除いています。そのため(路線でなく)「会社カバー率100%」となっています。

――コミュニティバスや高速バスも対象外なのですね。

仲摩:高速バスはほとんど入っており、まずは具体的な要望件数が多い路線バスを優先しました。一時期は多い月ですと100件以上の要望があったのですが、整備されるにつれて月10件を切るまで減っています。今後は5台未満の小規模事業者やコミュニティバス、高速バスのデータもどんどん入れたいと思っています。

――バス事業者からはどのようにデータを手に入れましたか。

仲摩:515の事業者にすべて電話などでコンタクトを取り、説明したうえで契約をさせていただきました。ほとんどの事業者から快く対応していただき、ナビタイムのアプリを通じて利用者に情報提供することに同意をいただき、データを提供していただけました。

データ形式が各社で違う!

――515事業者のデータ対応で苦労した点はどんなところでしたか。

ナビタイムの経路検索アプリでバスを検索した結果イメージ(筆者撮影)

前原:仲摩の言っていた交渉もそうですが、事業者ごとにデータの形式が違うという点ですね。ファイルの形式もデータの書き方も、515事業者あれば515通りの形式があるといったところでした。それを弊社独自のフォーマットに変換する必要がありました。そこで変換ツールを独自に開発して、ITの力で省力化に取り組みました。ツールも数えきれないほど作りましたし、それでもツール任せにはしきれず、手を加える部分はありました。

村川:今回注力したのは、ツールを使った効率化・自動化の追求です。弊社はエンジニアが社員の8割を占める会社なので、その強みを生かしました。データ入力だけではなく、チェックもツールで行いました。

――今回の大きなポイントとして、バスの時刻だけではなく、停留所の位置も正確にナビできるようになっていることが挙げられます。停留所の位置の情報は各事業者にデータがあったのですか。

村川:いえ、バス事業者がデータを持っているところは多くなかったです。なので、基本的には弊社の独自調査です。その他有用なデータも外部から調達し、位置をとっていました。もちろんそれだけでは足りないので、現地調査も行きました。新潟県では5日かけてリストを基に目星をつけて正確な位置を確認し、全国35万件の停留所の位置の情報に対応しました。

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