静岡発で快進撃するオーダースーツ店の正体 縮む市場に立ち向かう「着心地」「お手頃」
アークは現在8店舗。静岡県(6店)のほか、長野県と愛知県(各1店)に店舗があるが、すべて郊外店だ。運営するシーエフカンパニー社長の千須和八太郎氏は、こう話す。
「業績は絶好調で、全店舗が黒字です。年間を通しての繁閑もほとんどない。需要が減るのは真夏の時季ぐらいで、“ニッパチ”と呼ばれる2月の売り上げも好調でした」
新店舗も2店計画しており、2017年度の売上高は約6億2000万円、今年度は10億円を見込む。手堅く運営してきたが拡大路線に転じ、新潟県長岡市に専用工場も設けた。長年、大手アパレルのコートなどをOEMで製造していた旧工場を買い取ったという。
浜松市は人口約80万人、静岡市は人口70万人弱だが、展開するのは地方都市ばかりだ。なぜ、ここまで好調なのだろう。
「まず、イージーオーダーで2着・4万円未満からある、手頃な価格が支持されています。宣伝をしない分、価格を抑え、お客さんは口コミで増えてきた。派手に広告を出したり、頻繁にセールを行ったりする、百貨店や大手量販店とは別のビジネスモデルです。地方都市なので競争相手も少ない。年中無休で正月も営業するので帰省客も買われます」(千須和氏)
新入社員や就活生も来店する
中田店での取材中も、1人、2人と来店しては採寸していた。若い世代が多く、大手量販店とは違う客層を感じる。実はオーダースーツを着る世代は若年化しており、アークにも20代の顧客が多い。フレッシャーズや就活生もいるという。
「以前、この中田店はパン屋さんで、入口は木のドアでした。お客さんが入りにくいのでドアを変えて、道路から店内が見えるよう開放的にしたのです。若い世代は面白そうだと思えば平気で来店しますが、逆に年配の人のほうが少し遠巻きに見ている気がします」
中高年世代には、オーダースーツは高価という意識が残るのかもしれない。若手・中堅世代では運動経験者(現役アスリート、引退後の市民アスリート)も愛用する。
「たとえばサッカー選手は、既製服だとウエストに合わせると太ももが入らないなど着心地もよくない。その点、自分の体形に合わせて縫製できるオーダースーツは使い勝手がよいのです」
無料会員登録はこちら
ログインはこちら